議論の姿勢への評価は、実は日米で正反対
会社等の集団では、議論をして物事が決まっていきます。
日本の議論は、時間をかけて「空気」が作られ、コンセンサスで決まることが多いようです。
米国の議論は、議論を戦わせます。「オレはxxxxxxxと考える」(正)→「私はYYYYYYと考える」(反)→「では両者のアイデアを活かしてZZZZZZとしよう」(合)といった、「正反合」の議論で決まっていきます。(実際には面と向かって「お前の言うことは違う」という言い方はしませんが、言っている内容はこのような感じです)
このような背景がありますので、議論への姿勢についての評価は、日米では異なります。
■議論に対して、事実で反論するケース
日本:「空気読め」と言われたりします。職位が低いと発言が認められないこともあります。(もちろん徹底的に事実での議論を戦わせる集団もあります)
米国:「議論に対して事実で反論する人」は、逆に相手から信頼が得られることもあります。
■議論に加わらないケース
日本:会議にただ参加して議論を拝聴し何も意見を言わなくても、おとがめがありません。
米国:議論に加わらない人は低い評価になります。「何も意見を言わない」のは、「物事をよりよくしようという意志を持たない人間である」と評価されてしまうからです。
■議論に反論せず、決定事項とは反対のことを頑張り、最後に裏で辻褄を合わせるケース
日本:「周囲の反対にもめげずに頑張っているじゃないか」と高く評価されることもあります。
米国:逆に信頼性を失い、マイナスの評価になることもあります。
どちらがよいか?
一長一短です。
時間をかけてコンセンサスを作ることが必要な場合もありますし、議論で迅速に決めることが必要な場合もあります。さらに全てが議論で決められる訳ではなく曖昧にしておいた方がいい場合もありますし、一方で曖昧さを徹底排除すべき場合もあります。
しかし米国型コミュニケーションが主体の集団にいる人は、米国型コミュニケーションを行なうことが求められます。
日本人にとって米国型のコミュニケーションは色々と大変です。どうすればよいのでしょうか?
なかなか大変ですが、基本はシンプルです。
1.まず、「おかしい」と思ったら、「おかしい」と言う
2.そしてできる限り、事実+提案で議論する。ここで「間違う」のはOKです。「正反合」の世界なので、修正する機会はあります。
3.1と2の段階で努力する。逆に裏で辻褄を合わせようと、努力しない。
基本は正直なコミュニケーション(honest communication)を心がけることです。
ただ世の中色々な事情がありますので、正直であり続けるのは実はかなり大変なことです。日本型コミュニケーションがフィットする世界も多いのです。
しかしこのコミュニケーションスタイルが標準になっている世界では、この方法でコミュニケーションをすることがますます必要になってくると思います。