コンフォート・ゾーンからの脱却
昨年末、勤務先の日本IBMで、ある先輩社員である役員が退職されました。
その方がことあるごとにおっしゃっていた言葉がしばらく自分の中に残っていました。
「コンフォート・ゾーンから脱却しないと成長はない」
「コンフォート・ゾーン」とは「居心地のよい環境」という意味です。
自分が「今のスキルだと次々と来る仕事は難題でも楽々とこなせるし、我ながらいい仕事が出来ているなぁ」と思っているような環境は、意外とコンフォート・ゾーンなのかもしれません。
確かに仕事でいいパフォーマンスが出ます。
しかし言い換えれば背伸びをしなくてもパフォーマンスが出ます。
この言葉が自分の中に残っていたのは、ここ数年間の自分がこの「コンフォートゾーン」で仕事をしていたように感じていたからです。
ちょうどそんなことを数ヶ月考え続けていた2月下旬のある金曜日、勤務先の部門長から「ある部を任せたい。担当してみないか?」というお話しをいただきました。
私は13年前に開発チームのマネージャーをしたのを最後に、基本的にプロフェッショナルの立場で仕事をしてきました。マネージャーの仕事は本当に久しぶりです。しかも仕事の内容はなかなかチャレンジングで、色々と変革することが求められています。
私にとっては、それまでの仕事を継続する方がずっと楽です。恐らく、今やライフワークとなっている本も書くのはずっと容易でしょう。
「来週まで考えさせて下さい」と回答し、週末に考えた際、頭をよぎったのは、やはり次の言葉。
「コンフォート・ゾーンから脱却しないと成長はない」
この仕事をお受けすることにしました。
ということで、3月1日から新しい仕事を始めています。
当然のことながら、2月末までの仕事と比べると全然楽ではありません。色々とチャレンジングなことも多いのです。しかしとても面白く感じています。
考えてみると、13年前に開発マネージャーからマーケティングに転じたのも、コンフォートゾーンからの脱出でした。実は最初の1年間はなかなかマーケティングの仕事が分からず、「本当にこれでよかったのか?」と悩み続けていましたが、それがあるおかげで、現在の私があると思います。今ではマーケティングの仕事をするようになって本当に良かったと思っています。
今回、思わぬ形で、久しぶりのコンフォート・ゾーンから脱出。
今回は「本当によかったのか?」と悩むことなく、自分一人に留まらずに様々な方々の新たな成長に繋げられれば、と思っています。