T.レビットの論文「マーケティング近視眼」...51年後の今、読み返しても、心に響くことがたくさん書かれてある
「マーケティング界のドラッカー」と言われるセオドア・レビットは、51年前の1960年に「マーケティング近視眼」という歴史的論文を書いています。
本にして33ページ分の小さな論文ですが、この論文は、豊富な事例とともに、現代でも通じる様々な示唆に富んでいます。
いくつか抜粋します。(ページ数は、「T.レビット マーケティング論」に記載されているページです)
実は成長産業といったものは存在しない、と私は確信している。成長のチャンスを創り出し、それに投資できるように組織を整え、適切に経営できる企業だけが成長できるのだ。何の努力もなしに、自動的に上昇していくエスカレーターに乗っていると思っている企業は、必ず下降期に突入する。 (p.11)
最も重要なことは、企業が売ろうとするものが、売り手によって決まるのではなく、買い手によって決まるという点である。売り手は買い手からの誘導によって動くのであり、売り手のマーケティング努力の成果が製品になる。決してその逆ではない。(p.19)
世間は決まってフォードを生産の天才としてほめるが、これは適切ではない。彼の本当の才能はマーケティングにあった。フォードの組み立てラインによってコストが切り下げられたので売価が下がり、五〇〇ドルの車が何百万台も売れたのだ、といわれている。しかし事実は、フォードが一台五〇〇ドルの車なら何百万台も売れると考えたので、それを可能にする組み立てラインを発明したのである。(p.22)
生産にかかる限界コストさえ低くすると、なんとか利益が出るという考え方は大変な思い違いで、、会社をだめにする。特に需要の拡大する成長企業では、マーケティングや顧客を重視しない傾向がある。(p.23)
産業活動とは、製品を生産するプロセスではなく、顧客を満足させるプロセスであることを、すべてのビジネスマンは理解しなければならない。(p.31)
ビジネスの世界で言えば、フォロワー(追従者)とは顧客である。こうした顧客をつくり出すには、企業全体を顧客創造と顧客満足のための有機体であると見なさなければならない。経営者の使命は、....顧客を創造できる価値を提供し、顧客満足を生み出すことにある。(p.35)
私は、よくこの論文を読み返しています。