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識字率向上が、豊かさと民主化をもたらす

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2011/9/8の日本経済新聞の記事『「アラブの春」の社会的背景、エマニュエル・トッド氏――識字率上昇、個人が自律』で、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏が以下のように語っておられます。

---(以下、引用)---

...トッド氏は日本経済新聞に対し、中東・北アフリカの民主化運動「アラブの春」について、識字率の上昇などから必然的に発生した社会の変革との見方を示した。主なやりとりは以下の通り。

....識字率上昇と出生率の低下に伴い社会では個人の自律性や政治への意識が高まる。これは17世紀の英国の清教徒革命やフランス革命など西洋社会で起きた民主化のプロセスと同じ流れの中にある

....特にチュニジアでは識字率が9割を超え、出生率はアラブ圏で最小の2人と、フランスと同じ水準になっていた。アラブ圏に多いいとこ同士の結婚(内婚)という閉ざされた風習は社会変革の阻害要因だが、チュニジアの場合、内婚率も若い世代で低下していた。チュニジアでまず革命が起きたことに驚きはない

---(以上、引用)---

日本にいるとあまり意識できませんが、多くの国では識字率は必ずしも100%ではありません。

25年前、米国人に「(障害者を除くと)日本の識字率はほぼ100%」と話したことがあります。当時、「他の国ではあり得ない」と驚かれました。

文字を読み書きできることで、知識を吸収したり、自分の意見を表明することが出来るようになります。

当たり前に思えますが、実はこの当たり前のことが、世界の多くの国で出来ていません。

その理由は貧困であったり、封建的な社会における「女性は文字を読めなくてもよい」という女性差別だったりします。(例えば、この識字率調査の数字は信頼性は低いようですが、それでも同一国内で男女の比率を比較するとかなり差がある国も多いことがわかります)

 

この記事を読んで、発展途上国の子供達に対する学習支援の意義が、改めてよく理解出来ました。

ちょうど昨晩のTVのニュース番組で、9.11のテロで息子さんを亡くされた方が、アフガニスタンで子供達が「悪いのは米国だ。米国が憎い」と言っているのに直面して、「勉強したいという子供達に明りを提供する」という活動をなさっている様子が、放映されていました。

また、ある社会起業家を特集したTV番組で、発展途上国で夫から虐待を受けていた女性が、字を学んで起業し活き活きと活躍している様子も見たことがあります。

学ぶことで、個人や社会がより豊かになり、民主化し、成熟した社会になっていく、ということなのだな、と再認識しました。

 

 

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