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第22回朝カフェ、永井隆太さんの『ソーシャルメディアと三位一体論』 #asacafestudy

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昨日、第22回朝カフェ次世代研究会は、永井隆太さんの『ソーシャルメディアと三位一体論』でした。

さすが大手広告代理店でバリバリの現役広告マンである永井さんのソーシャルメディア論、私の本業のマーケティングでもすぐにでも役立てたいお話しが満載で、すごく勉強になりました。

 

自分のTwitterのつぶやきから、一部を抜粋してみます。

 

■従来は、メディアの世界はみんなの意見をマスコミが集計していたし、マーケティングの世界は、企業がブランド統一メッセージを出していた。これからは、みんなの意見をみんなで共有していくし、企業について、相互型に何がどう語られるか、という世界にシフトしていく。

■もともとは三位一体論とは、父(神そのもの)、子(イエスキリスト)、精霊(そこらに漂うもの)が一体となって唯一の神である、という考え方。

■この考え方にもとづいて、広告主から見た三位一体論を考えると、PAID(広告)、EARNED(参加されるモノ)、OWNED(自分の持っているサイト)になる。しかし実際には広告かアフィリエイトか分からないものが多い。例えばケータイにはURLも表示されないのでOwnedかEarnedか分からない

■そこでユーザーから見た三位一体論で考えてみると、①企業そのものや製品サービス(Brand)、②メディア(Media)、③世の中の評判。コンテキスト。ストーリー。(Context)で考えることができる。従来は①と②だけだった。今は③も考えていく。例は佐々木希のフィッツ。この3つをどの順番で繋げるか、がカギ。

■このBrand、Media、Contextの組合せ順番によって考えると、分かりやすくなる。

■「とにかくバズらせればよい」というのはよくある誤解。過度に期待値が大きい、つまりコンテキストが大きすぎるのは危険である。「評判が高すぎるのに、実態で失望する」というギャップが生じると、逆に怒られてしまう。例は某おせち事件。ちゃんとバズやコンテキストにロジスティックスが追いつかないといけない。

■グローバルで有効なソーシャルメディアのデザインのポイントは、とにかくひとめでわかり誰も反論できない、ローコンテキストなものにすること。

■一方で、日本でのコンテキストデザインのポイントは、「わび・さび」「粋」「萌え」。(ハイコンテキスト社会だから)例は、「魔法少女まどかマギカ」。萌えで集まったが、とても分かりにくいのに、ニコ生(同時視聴)で92万ID突破。

■このように、ソーシャルメディアは数十万規模の熱狂的な人を集めるメディアとして考えるべき。数百万から数千万規模はTV等のマスメディアに任せる。

■コアが動けば世界が動く。安保運動でも、国会を取り巻いた10万人の人達が動いて、社会が動いた。

■戦略的にソーシャルメディアとマスメディアを使い分けたのが、オバマの選挙。①選挙スタッフにはクローズメディア。②それよりも広い寄付するソーシャルメディアで集めた支持者からは募金を集める。③そのお金をマスメディアで投資し浮動票を刈り取る。実際、選挙終盤で、オバマはマケインの3倍のTVスポットを打ち、浮動票をTVで刈り取った。オバマは短期間でPDCAを回しまくった。優れた選挙参謀が緻密に戦略を立てた結果。実際にはオバマはTwitterは使わなかったと言われている。

■ブランドは、世界の共有財産と考えるべきである。買った人の物であり体験である。企業の財産と考えると、PAID/OWNED/EARNEDの発想になってしまう。ソーシャルメディアは、この逆転の発想を促す。

■「ソーシャルメディアの三位一体論」まとめ
①BMC(Brand/Media/Context)で考えると整理が簡単になる。②自社の実態を超えない(ロジスティックスが伴う)こと。③ハイコンテキスト社会(日本)とローコンテキスト社会(グローバル)に合せた配慮を行うこと。

 

また、「10万人の人達が動いて、社会が動いた。」というお話しも、とても勇気が出る話でした。

閉塞感が漂う日本社会ですが、「ソーシャルメディアで数万人~数十万人規模の人達が能動的に動くと、きっと日本も変わる」という確信が持てました。

永井隆太さん、ありがとうございました。

TwitterのつぶやきもTogetterでまとめました。

次回、3週間後の7/13開催の第23回の「朝カフェ次世代研究会」は、高木芳紀さんの「小さな会社とソーシャルメディアの実際」です。

ソーシャルメディア論が続きますが、永井隆太さんのお話しが割と大企業向けなのに対して、高木さんのお話しは、ご自身の体験に基づいて、社員数名規模の企業でいかにソーシャルメディアを活用していくか、という話です。

高木さんは「朝カフェ」2回目のご登壇ですが、これもとっても楽しみです。

 

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