【驚異的に格安で、高品質。しかも凄く速くてカンタン】 freelancer.comで、新興国への外注サービスを、個人で使ってみた
出版準備中の新著で、写真のレタッチ(修正)を行う必要がありました。
かなり複雑な処理で、日本の知合いに確認したところ、「これはちょっと無理」と言われました。
レタッチ前の写真を何人かに見せたところ、「このままじゃ使えない」との意見が大多数。
「うーん、困ったなぁ。プロに発注すると数万円かかるなぁ」と思っていたところ、某宴会で大塚さんから、freelancer.comというサイトを紹介されました。
「インドとかに外注したら、2-3日間で数千円でやってくれますよ」
私は既にかなり酔っていましたが、酔っぱらった頭で冷静に「いかん、これは多分、すぐにサイト名を忘れるに違いない」と思い、パソコンにしっかりと「freelancer.com」とタイプしておきました。
翌朝には案の定、頭からはサイト名はすっかり消えていましたが、パソコンにタイプしていたおかげで、後日、freelancer.comにアクセスできました。
これは、サービス提供側と、サービス利用側のマッチングを行ってくれるサイト。
小口のサービスを、世界中のフリーランスの人に発注し、応札してきた中からベストのサービス提供者を選べる、というサービスです。
様々なサービスの発注や受注ができます。
たとえば、写真のレタッチ以外に、翻訳や、電話の受付、調査、分析、タイプ、プログラミング、その他もろもろ、あらゆるサービスがある、という感じです。
今までにのべ約100万件近いサービスがここで登録されているそうです。
そう言えば、海外で、大学生が自分の論文をインド等に外注していたことが話題になりました。
事の是非は別として、このようなサービスを使っているのですね。
ただし、全て英語です。
早速、私も写真のレタッチ作業を発注すべく、登録してみました。
まず特定業者に発注する前に、一般公募してサービス提供者に入札してもらう必要があります。
そこで、作業内容を4-5行の英語で簡潔に記述し、必要なスキルとしてPhotoshopを選択、レタッチ指示を記入した画像ファイルを添付。
登録料が5ドル必要で、ここで初めて料金が発生します。
PayPalというサービスを使えば、クレジットカード番号を知られることなく支払などの決済ができます。ついでに登録。PayPalの登録もとても簡単で、5分で完了です。
一般公募/発注する作業は「プロジェクト」と呼ばれますが、この時点でその「プロジェクト」が登録されました。(なお、未発表製品関連等の機密性の高い仕事は一般公募ではなく別の形で公募することもできます)
一般公募30分後にチェックしたところ、早くも5件の申込がありました。
反響の速さにびっくり。
あとで調べたら、freelancer.comの一般公募案件が流れるTwitterのアカウントがあって、それを常時チェックし、私の指定したPhotoshopとかレタッチというキーワードを見て、即入札した人たちのようです。
Freelancer.comは発注最低価格は30ドルですが、どれも入札価格は30-50ドルの範囲。
一般公募3時間後には、これが50件に増えていました。
入札リスト上では、受注元の人が所属する国が国旗であらわされます。
インドが40%、ブラジルが30%、他にルーマニア等の東欧諸国、インドネシアやマレーシア等のアジア諸国、といったところでしょうか。基本的に英語圏の国々です。
受注元に対する、過去の発注者の評価も見ることができます。
また、あるルーマニア人は、掲載したサンプルを修正して「どう?気に入った?」とメッセージを送ってきました。さらに20分後に「メッセージ、見た?返事待っているよ!」
このアグレッシブさは、見習うべきかも、です。
半日間様子を見て、実際の作業結果を見ないと発注判断できないことが分かりました。
そこで一般公募12時間後の翌朝、中程度の解像度のサンプル写真(1800x1200ピクセル)を追加登録しました。
作業依頼する写真の解像度は3600x2400ピクセル程度なので、その半分です。
一般公募24時間後、入札はなんと120件に。
そのうち20件は、登録した1800x1200ピクセルのサンプル写真をしっかりレタッチし、「よかったら、高解像度版を送ってくれ」とのコメント。
正直に言って、どれも少し不自然ながらもまぁまぁ許せるかなぁ、といった感じの品質。
「まぁ、こんなものなのだろうな」
と思いましたが、その中に1枚、とても自然にレタッチした写真がありました。
他の写真と比べると格段に高品質。セルビア在住の画家によるものでした。
一般公募24時間後に、このセルビアの方に、正式発注。
セルビアからの受諾の返事を待って、一般公募30時間後に高解像度の写真を送りました。
一般公募34時間後には、きれいに修正された高解像度の写真が送られてきました。
金額わずか30ドル(2,500円)。
かかった時間は、わずか合計34時間。
2011/3/9 0:05AM追記: レタッチ前と後の比較画像を掲載しました→「【続:驚異的に格安で、高品質。しかも凄く速くてカンタン】freelancer.comで、30ドル(2500円)で依頼すると、どの程度のレタッチが出来るのか? (レタッチ前/後の写真を公開)」
意志を疎通できる若干の英語コミュニケーションスキルがあれば、このような超格安で高品質な世界中のサービスを、個人が誰でも迅速に利用できる時代になったのだ、ということを実感しました。
逆に、グローバルの凄まじい競争社会の現実を実感しました。
私の一般公募に入札した人は合計120名。
うち、20名が実際に仕事を取るために先行投資して作業。
それでいて実際に発注したのは1名だけなのですから。
しかも、私が発注した先のスキルは、とんでもなく高いのです。
先日もブログ『「何でもできます」は、言わないようにしよう』でも書いた通り、「何でもできます」=「誰でも出来ることしかできません」だと、ここでは仕事にありつけません。
私たちはフラット化した世界の真っ直中におり、知らない間にものすごい競争にさらされているのですね。
今後、この動きは加速することこそあれ、戻ることはないでしょう。
私たちがこのようなグローバルの超格安・高品質・迅速なサービスを活用できるかどうかは、今後、大きな差になって現れてくると思います。
さらに言えば、このような社会で、私たちはどのようにより高い付加価値を創っていくのかを真剣に考えていく必要があると実感しました。
そういうことを色々と考えるきっかけになった経験ですが、写真はとてもきれいに修正でき、大満足です。
2011/3/7追記:この時、レタッチした写真です。3/30発売の新著の表紙カバーに使っています。クリックするともう少し大きめの写真でご覧になれます
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