プレゼンの心得(1) --優れたプレゼン資料は、最高の推理小説だ
「来週、プレゼンについて、講演して欲しい」
とのご依頼を、勤務先のある部門からいただきました。
そこで、GW期間中に、自分の経験を元に、色々と考えたストーリーを、当ブログで書いてみます。
皆様からのご意見やご感想をいただいて、チューンアップできればと思っております。
ちなみにこの講演の実物は、「プレゼンテーションZEN」風にイメージを多用したパワーポイントによるプレゼンになっています。
ただ当講演は社内向けなので、当ブログでは、勤務先の人達しか分らない部分は削除した上で、ストーリーの概略を文章でご紹介します。ご了承ください。
私が出会った人達の中で、プレゼンにおける最高峰の達人は、田坂広志先生です。
講演では、パワーポイントなどの道具は、一切使用しません。
何も使わず、全て「語り」ます。
一方で、講演参加者が話をメモすることで、講演を聴く際の注意力が逸らされてしまうことも熟知されています。
そこで、講演開始前には、後で参照できるように、必ず10ページ程度の講演サマリーも配布されています。
このような高レベルの講演スタイルは、常人にはなかなか真似できませんが、田坂先生は「企画力」という著書を出されています。
企画書について書かれた本ではありますが、「企画書」の部分を「プレゼン資料」に読み替えると、最高のプレゼン資料のための指南書でもあります。
本書のオビに、ある一節から抜粋した言葉が書かれています。
優れた企画書は、最高の推理小説だ
これは、
優れたプレゼン資料は、最高の推理小説だ
と読み替えてもよいのではないかと思います。
企画書(=プレゼン資料)の膨大な要諦が随所に散りばめられていますが、あえて私なりに4つにまとめると、下記になるのではないかと思います。
・よどみない、骨太な流れが必要である
・シンプルで、力強い言霊が必要である
・人を惹きつける、面白さが必要である
・企画書は、一人歩きすると思え
1点目から3点目は「最高の推理小説」の意味を具体的に語ったものなので説明不要と思いますが、4点目は説明が必要かもしれません。
説得力のない企画書(=プレゼン資料)でも、説得力のある人が説明すると、説得力を持ちます。
そして企画書(=プレゼン資料)は、このような説明を受けて同意した人が、さらに他の人を説得するのに使われることがあります。
これが「企画書が一人歩きする」という状態です。
ただ、一度だけしか説明を聞いていない人が、説得力が弱い企画書(=プレゼン資料)を使っても、他の人を説得できない場合が多いのです。
つまり、企画書(=プレゼン資料)は一人歩きすることがある。
そして、一人歩きしても説得力のある企画書(=プレゼン資料)を作ることが求められる、ということです。
では、プレゼンの目的とは何でしょうか?
私は、それは、
・プレゼンを聴いた人の共感を得て、
・人を動かし、
・そして、「プレゼンの狙い」を実現すること
であると思います。
「プレゼンの狙い」とは、ケースバイケースです。
プレゼンを聴く立場で言うと、「感動を覚える」ことだったり、「習慣を変える」ことだったり、「学びを得る」ことだったりします。
また、商品紹介セミナーの場合は「商品やサービスを検討する」ことだったり、セールス活動の場合は「購買の決定をする」ことだったりします。
狙いが実現できないプレゼンは、プレゼンする立場から言えば、失敗である、ということです。
つまり、
プレゼンは、ビジネスパーソンの武器
とも言えると思います。
ちょうど武士が、剣をおのれの分身とし、日々、剣の道を極めていたように、ビジネスパーソンも、プレゼンの力を日々高めていく必要がある、ということです。
例えば、セールスの現場では、お客様にプレゼンしているのは、自社だけではありません。
ライバル会社も、プレゼンしています。
そのライバル会社のプレゼン力が我々よりも高い場合は、武士と武士の戦いと同様、我々はビジネスの現場で負けてしまうということです。
では、プレゼンで必要なものとは何でしょうか?
ちょっと長くなったので、続きは次回に致します。