永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

先週金曜日夜、ブロガーズミーティングがありました。

毎月オルタナティブブロガーが集まるこの会議、IT業界の様々な方々との色々な議論が活発に行われて、私にとってとても大切でエキサイティングな集まりです。

今回は、ブロガーの森戸裕一さんによるIT業界における人材育成のお話しでした。

既に小俣さんが詳しく書かれておられる通り、素晴らしいプレゼンの手法・内容、ともに大変勉強になりました。

森戸さんのお話しの中に、最近の若手エンジニアがなかなか将来のキャリアプランを描けない、という話がありました。

今回は、その場でコメントさせていただいたことに、その後考えたことを追加して書かせていただきたいと思います。

 

思い返せば、私が20代半ばの頃も、同じような悩みを持っていました。

当時は入社3年目。仕事には慣れてきましたが仕事が単調に感じられ将来が分からなくなり、モラルも落ちてきた時期です。

入社3年目を迎えると、多くの人達はある程度仕事の先が見えたような気になり、モラルが落ちるようです。(実際は単調な仕事の先にさらに奥深いものがあることは後になって分かりました)

その意味では、最近20代の人が入社2-3年で「なんか違うなぁ」と真剣に悩み、会社を辞めて再就職するのも分かるような気がします。当時は「第二新卒」という言葉もなく、若手社会人向けの転職市場そのものが存在しませんでした。

そんな状況の時、勤務先の会社で、2泊3日の研修がありました。

その中で、「これから10年後、35歳までにどのようなキャリアプランを考えるか」を半日間かけて考える課題が与えられました。

キャリアプランを考えるにあたり、方法論も同時に与えられました。

1.まず、自分の周り、もしいなければ会社全体、もしくは会社外でもいいので、10年後にはこの人のようになりたい、と思える人を見つける

2.次に、その人が、20代から30代にどのような仕事をしてきたかを考える

3.その上で、自分の10年後の目標を立てて、これから10年間どのような仕事をし、どのような能力を開発すべきかを考える


 

私の場合は、当時の事業部長を将来の目標にしました。会社の製品事業部全体を横断的に(クロスに)眺めて、戦略を立案し推進していく責任者です。

しかし当時25歳の私は、業務自体はまさにこのような仕事でしたが、そのような仕事をこなせる能力・経験ともに持っていませんでした。

横断的に会社を見ようにも、それぞれの事業部で何をやっているのかは知識レベルでしか理解しておらず経験が全くないので、戦略を考えて説明しようにも全く説得力がありません。そもそも戦略自体考えるにはほど遠いスキルしか持っていませんでした。

目標にした事業部長が若手の頃に何をやってきたかを考えたところ、特定分野の製品開発を徹底的にやっていました。

「T型人材」とよく言われますが、特定分野を縦に徹底的に深く究めることで、初めて横方向に確実に拡がりを持たせることができます。(以前書いた「1万時間説」の話とも通じる点があります)

そこで、私は製品開発部門に異動し、製品の広い意味でのインプリメンテーションを徹底的にやる必要がある、と考えました。

その経験を積んだ上で、クロスに見る仕事をやっていこうと考えました。

研修後、この考えを上司に伝えました。上司は理解してくれましたが、私の当時の仕事を急に他の人に引き継ぐことができず、すぐに異動はできませんでした。

異動できたのは上司が2回ほど変わった3年後でした。しかしこの3年間希望を言い続けたことで、20代終わりの頃にはソフトウェア製品開発事業部に製品企画担当者として異動できました。

ここで製品企画、プリセールス、製品開発マネージャーを7年間で一通り担当し、ソフトウェア製品のライフサイクルを現場で徹底的に経験しました。

その上で、マーケティングに異動し、現在はソフトウェア事業の事業戦略に携わっていますが、当時、現場で身につけた経験は大変役立っています。

今の仕事をやっているのも、20年以上前の研修で半日で立てたキャリアプランに沿っていることに、このようにブログを書いていて改めて気づかされます。

さらに改めて考えると、この時に与えられた方法は、

「あるべき姿を目標として定義し」

「目標と現実(現在の自分)とのギャップを明らかにし」

「そのギャップを埋める方法を具体的に考える」

という、現在仕事で活用している方法論そのものです。

 

さて、今の若手の人達に、私達先輩社員は、このような機会を差し上げられているでしょうか?

若い人達が「だって、社内では周りにボクが目標とする人はいませんよ」、と返答が来た段階で諦めているようなことはありませんでしょうか?

私の場合も、モラルを失いかけていた25歳の時、研修でなかば強制的に時間と具体的な方法論を与えられたからこそ、考えられたのです。それが自分のキャリアプランに活きています。

環境が違うので一概には比較できませんが、私達が若い頃も、今の人達も、根っこのところでは同じような問題を抱えて悩んでいるように思います。

若手の人達のキャリアプランを考えるお手伝いをする場合、「今の若い人は」というロジックになった途端に解決策が見えなくなるのかもしれません。戒めていきたいと思います。


nagai

Special

- PR -
コメント

コメントを投稿する
メールアドレス(必須):
URL:
コメント:
トラックバック

http://app.blogs.itmedia.co.jp/t/trackback/77444/17766976

トラックバック・ポリシー


» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP


プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

日本IBM・ソフトウェア事業部のシニアマーケティングマネージャー。
著書「100円のコーラを1000円で売る方法」(中経出版)、他数冊。

詳しいプロフィール

カレンダー
2012年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29      
カテゴリー

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 富士通元社長の山本卓眞氏が残した次代へのメッセージ
富士通の社長、会長を務めた山本卓眞氏が亡くなった。哀悼の意を込めて、日本のIT産業界の大御所が残した次代へのメッセージを紹介しておきたい。(2/6)

news094.gif Facebook就活はもう古い?
約260人のブロガーが、ITにまつわる時事情報などを日々発信しているビジネス・ブログメディア「ITmedia オルタナティブ・ブログ」。その中から今回は「就活」「都心の雪」「ソーシャルメディア」などを紹介しよう。(2/4)

news094.gif 東北をコットンの生産地としてブランディングしたい──リー・ジャパン・細川取締役
塩害に強い綿の生産で東北に新たな産業を作りたい。オーガニックコットンの採用など、環境負荷を下げるジーンズ生産に取り組んできたリー・ジャパンの新たなチャレンジとは──。(1/30)

news094.gif 東北から始まるイノベーション
企業のICTを活用と若手IT技術者による東北発のイノベーションが、中長期的な震災復興の鍵となる。(1/27)

news094.gif 貧困国の雇用を創出する印刷屋、丸吉日新堂印刷の挑戦
全国から約2万7000件の名刺制作を受注をする札幌の小さな印刷会社の成功の秘密は、地道な社会貢献にあった。(1/16)

Special

- PR -

サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ