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タスク・チームのススメ(2):タスク・チームはどのように立ち上げるのか?

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タスク・チームを推進する際に考えたいことを書いています。

前回、タスク・チームの特長は以下の4つであることをご紹介しました。

・特定の問題を解決することを目的とする
・参加者は複数部門にまたがる
・メンバーは専属ではなく、他の本業の傍ら参加する
・活動期限が決められている

今回は、タスク・チームはどのように立ち上がるのかを書きます。

 

タスク・チームが結成される場合には、必ずそのきっかけがあります。

ビジネスで何らかの問題が発生することが、そのきっかけになることが多いのです。

しかし問題が発生したのであれば、その問題の責任部門が対応すればよいはずです。

例えば特定の製品の不具合に関する問題であれば、その製品責任部門が対応することになります。

しかし、これだけでは対応できないケースも多いのです。

それは何故でしょうか?

 

それは、ビジネスの現場では、複数の要因が複雑に絡んでおり、かつ、その因果関係が明確に分からないケースも多いからです。

例えば、社運をかけた新規事業がなかなか立ち上がらなかったり、収益源である中核事業の売上が急速に落ち込んだり、会社全体の顧客満足度やブランド認知度が長期低落傾向にある、といったようなケースです。

このような場合、単一部門では問題は解決できませんので、単一部門に問題解決を任せられないのです。

例えば、社運をかけた新規事業がなかなか立ち上がらない場合、その原因はその新規事業を担当している製品・サービス部門だけでなく、セールス、技術支援、マーケティング、管理部門等、様々な部門で発生している問題が複雑に絡んでいます。

そして、そのような問題の因果関係は必ずしも明確に分かっていませんし、問題意識も共有できていません。

問題の因果関係が分からず問題意識も持っていなければ、その問題は解決できません。

このような場合、複数部門から代表者を選出し、タスクチームを組んで、問題解決に当たることになります。

 

単一部門で解決できない、部門横断的な問題を解決するのがタスク・チームの役割ですが、どのようにタスク・チームが結成されるのかは、ケース・バイ・ケースです。

例えば、マネージメント・チームの話し合いの場で問題が議論され、「それぞれの部門から代表者を選んで、タスク・チームを組もう」という結論になり、トップダウン型で合意され、結成される場合もあります。

あるいは有志が集まり、「このままでは問題を解決できない。それぞれ部門が異なる我々が横で連携を取り、中心になって、タスク・チームを組もう」という結論になり、ボトムアップ型で結成されることもあります。

しかしいずれの場合でも、タスク・チームを組み部門横断的な体制が組んでも、必ずしもそれが成果を挙げるとは限りません。

実際、鳴り物入りでタスク・チームを組み、タスク・メンバーが活発に議論を行いアイディアが出されるものの、その議論を収束できずにタスク・チームの会議だけが繰り返され、ほとんど成果を挙げられずに、いつの間にかタスク・チームが消滅することも多いのです。

実際、私もこのようなケースを体験してきました。

 

当初の目的を達成するタスク・チームには、成功するパターンがあります。

一方で、成果を挙げられないタスク・チームにも、失敗するパターンがあります。

トップ・ダウン、ボトム・アップ、いずれの場合でも、「タスク・チームの進め方」を理解することで、タスク・チームが成功する可能性が高まります。

タスク・チームに参加する人達は、とても貴重な時間を割いて参加して下さっています。タスク・チームが成功する可能性を高めることは、この人達の貴重な時間を活かすためにも、大切なことです。

次回は、成功するタスク・チームのために、最初の準備段階で何を行うべきかをご紹介します。

 

関連リンク:
■タスク・チームのススメ(1):タスク・チームって何?


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