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見えない仕事、本当?

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会社の中には、一見ちゃらんぽらんに仕事しているけど、結構組織の上の人からは頼りにされている人間っていますよね。

2月28日発売のモーニングに掲載されていた「働きマン」では、そんな人のことを描いています。

ネタバレかもしれませんが、発売日から4日が経過しているのでこれから新たに雑誌を買って読む人も少ないと思いますし、逆に買ってまだ読んでいない人が読むきっかけになるかもしれませんので、まずあらすじを紹介します。

小さい映画配給会社の社員7名が、スペインの映画祭に上映権の買い付けにいきます。

そのうち6人の女性は真面目そのもの。各作品を仔細に調査し検討します。

しかし苛烈な買い付け競争に負けて、当初予定していた4作品はどれも買えませんでした。

一方で、残った1人の男性・室田氏(43)は、自分が担当していて全く人気がなかった映画を買うことを提案。

実は彼、この作品上映中は寝ていて満足に見ていません。

この映画を見た社長の「割と面白いじゃないか」という一言で、配給が決定します。

割と真面目な路線のこの映画、宣伝部は宣伝用に路線も邦題タイトルも思いっきり変えて「最強のおバカ映画」に仕立てることにしました。

皆が配給に向けてアクセクと準備作業を進めている最中も、室田氏は実作業には携わらずにノンビリ遊んで好き放題。

一方で、「何事にも熱心」な営業が老舗の映画館での上映を勝ち取ったり、公開前日に深夜番組で若手芸人が映画のシーンを再現して盛り上がったりしたこともあって、この映画の人気が出始め、上映館も増え、期間も延長することになり、大ヒット。

配給会社が内輪で催したパーティで、

「あなた、何もしていないじゃない」

という女性達にたいして、「働きマン」十八番の、室田氏本人の内面の独白。

世の中には
目に見える
仕事と
見えない仕事が
あって

そんで俺は
見えないとこ担当

なんて

言っちゃうと
カッコ悪いだろ

実際、室田氏は宣伝部に色々とアイディアを出して刺激させながら、何も拘束せず宣伝部の創造力を引き出しています。また、若手の営業には「女の子を紹介するよ」と言ってやる気を引き出しています。

また、付き合っているクラブの女性に試写状を渡して、若手お笑い芸人に配ってもらい、深夜放送で紹介してくれたことが最初の盛り上がりのきっかけになっています。

また、勝手に変えたタイトルはスイスにいる監督には「怒られるから」と一切知らせていません。

そんな室田氏、女性達に言います。

「ホントのこと言うなよ、お前ら~。まだ社長にはバレていないんだから」

そしてついには、大日本アカデミー賞最優秀外国語映画賞を獲得することになり、室田氏は病床の社長に代わって賞を受けることになります。

(興味のある方は、まだ先週号のモーニングは販売中と思いますので、ご覧下さい)
 

ううむ、彼なりの美学みたいなものがあって、カッコいい気がします。

確かに、仕事には、まわりの他人には見えない部分というのがあります。

巻頭にある言葉、

「仕事だからって、一生懸命がいいとは限らない」

全くその通り。

仕事はアウトプットを出してナンボです。

「一生懸命やる」のはあくまでいいアウトプットを出すための手段です。

「見えない仕事」というのは、誰にでもできるものではありません。

それが出来る人は、仮にちゃらんぽらんで遊んでいるように見えても、組織の宝です。

 

しかし、注意すべき落とし穴があります。

「自分は見えない仕事をやっている」つもりになってしまうこと。

経験を積んだシニアな人ほど、こんな落とし穴に嵌っていないか、今回の「働きマン」は何も語らずに警鐘を鳴らしているようにも感じました。

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