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まだ割と知られていない、「iPodに隠された謎」

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週刊東洋経済2007/12/08号で、「iPodに隠された謎 iはだからスゴイ!」という特集があります。

今まで報道され尽くした感のあるiPodですが、この特集では今まであまり広く知られていなかったSPAモデルスーパーEMSについて深掘りしており、参考になりました。

1.SPAモデル

SPAとはGAPやユニクロで有名な「製造小売型アパレル」の意味です。

ご存知の通り、GAPやユニクロは、自社デザイナーが商品のデザイン選定や素材コントロールを行い、販売は直営店舗、店舗の内装デザインもブランディング、一方で製造はアウトソーシングし自社工場は持っていません。品質は「安かろう悪かろう」ではなく、「安いのに高品質」です。

iPodは同様の仕組みでビジネスを行っています。

かつてアップルは、全てを自社で製造するという考えで自前の最新工場を持っていましたが、本当の付加価値はマックで培った使い勝手のよいソフトウェアと製品デザインにあると割り切り、工場を閉鎖し、台湾EMSへの委託生産へと切り替えました。

また、今や全社売上の20%を占める直営のアップルストアは、アップルのブランドイメージ醸成の役割を担っていますし、また、大量仕入れにより、小売価格は競合よりも安く設定しています。

記事では様々な事例を通じて、いかにSPAモデルを実現しているかを紹介しています。

2.スーパーEMS

iPodの試作段階や部品供給に日本メーカーが多大な貢献をしていることは衆知の事実ですが、実際に量産しているのは台湾に本社を置くEMS(電子機器製造請負サービス)のホンハイです。日本の最先端技術に短期間でキャッチアップし、量産してしまいます。

このホンハイ、2006年の売上は4兆円でEMSでは世界一、前年度比成長率はなんと44%です。中国・深センに13万人の従業員を擁しています。

ホンハイはiPod以外にも、HPのパソコン、任天堂のWii、ソニーのプレステ、等々を生産しています。私達は、知らないうちにホンハイで生産された製品を使っていることになりますね。

今後、私達はこのような巨大なEMSの存在を前提に、自社ビジネスを定義していく必要があるのでしょうね。

この特集、他にもアップルの過去と未来を俯瞰したり、キーデバイスからデザインまでの日本企業や個人の関わりを描いたり、と非常に読み応えのある特集になっています。

ご興味のある方は、ご一読を。

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