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山登りのパラダイム・波乗りのパラダイムと、仮説検証サイクル

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二ヵ月半前に書いたエントリー「緻密な計画よりも、大雑把な計画の方がうまくいくらしい」で、田坂広志さんの『「山登り」の戦略思考を捨て、「波乗り」の戦略思考を身につけよ』という考え方を紹介しました。

おさらいすると、現代の市場では「地形」そのものが刻々と変わり、「山」が突然「谷」になり、「谷」が突然「山」になる。「波乗り」の比喩で述べると「波乗りで向かうべき方向を定め」「乗っている波の刻々の変化を感じ取り」「波の変化に合わせて瞬時に体勢を変化させ」「波と一体になってめざすべき方向に向かっていく」戦略思考のスタイルが求められる、ということです。

この山登りと波乗りの按配は、本当に難しいですね。

プロジェクトを始める場合は何らかの目標がある訳ですし、そのためには、最初は「波乗り」ではなく「山登り」の準備が必要になります。とは言っても、今のご時世、「山登り」の準備にはなかなか手間と時間はかけられません。地形そのものも変わってしまうので、時間をかけること自体、リスクになります。

そこで、準備もそこそこにとりあえず登ってみる訳ですが、なかなかうまくいかない。そこで次にどの山や波をどのように目指すか、という判断が必要になります。

波が次から次へとやってくる状態であれば、次の波の頂を見据えて波から波へと移動して行けばよいのですが、このような状態にいたるのがなかなか難しいですね。

何がカギなのか色々と考えてみると、結局、「仮説検証サイクルをどの程度の頻繁に回しているか」が、ポイントなのではないかと思います。

どの波や山の頂をどのように目指すかが「仮説」で、目指す過程で学んだことを次の波や山の頂を目指す際にどのように活かすかを考えるプロセスが「検証」です。

個人レベルであれば、この仮説検証サイクルは比較的頻繁に回せます。

例えば、私はプライベートで合唱団のサイト管理を行っていますが、入団希望者が集まりやすいサイトの作り方や誘導の仕方、メッセージ等を色々な仮説を立てて考え、実際にサイトに反映させ、アクセス状況と申込み状況で効果を把握しながら、数日単位で適宜修正しています。結構成果が上がっています。

個人レベルだから、数日で仮説検証サイクルを回せるのですが、チームワークで動く企業の場合は、これ程身軽には動けません。

大規模なチームよりも、数人の小さなチームの方が成果が上がりやすいのも、そんなところが理由なのかもしれませんね。

しかし、ある程度の規模を持つチームが短いサイクルで仮説検証を回せれば、これはもの凄くパワフルな集団になりそうです。

どうすればそれが実現できるのか? ビジョンや価値観・問題意識の共有、円滑なコミュニケーションの実現、リーダーシップ、等々、色々と考えられます。多分、「これで全て解決する」というような魔法はないのでしょう。一つずつ解決していくのが、王道なのでしょうね。

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