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日本一売る人達の、いい顔

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「日本一のセールスマン」と聞いて、あなたはどんな人を想像しますか?体育会系の押しの強い人とか、この道一筋xx年という人とかを真っ先に考えるのではないでしょうか?

実際は、かなり違うようです。

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日経ビジネス2006/10/23号の特集「日本一売る!逆風を商機に変えた人たち」で、各業界の日本一のセールスが写真つきで合計18人登場しています。プロフィールは下記の通りです。

●ベンツ販売(ヤナセ、34歳男性)
●機内販売(日本航空、40歳女性)
●薄型テレビ販売(ビックカメラ、20歳女性)
●タクシー運転手(中堅タクシー、43歳男性)
●旅行販売(JTB、35歳女性)
●マンション販売(大京、37歳男性)
●投資信託販売(日本郵政公社、42歳男性)
●東京ドームビール売り(21歳女性)
●試食販売(日本ハム関東エスピー、45歳女性)
●シューズ販売(ライトオン、24歳女性)
●社葬販売(公益社、39歳男性)
●飲食業界店員(グローバルダイニング、25歳女性)
●化粧品販売(カネボウ化粧品販売、36歳女性)
●同人誌販売(同人誌販売会社、34歳男性)
●生命保険(明治安田生命、67歳女性)
●婦人靴(伊勢丹、51歳女性)
●通信販売(ジャパネットたかた社長)
●ヤクルト販売(群馬ヤクルト販売、39歳女性)

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詳しくは記事をご覧いただければと思いますが、「例え石ころでもお客に売ってみせる!!」といったタイプの凄腕セールスマンは皆無です。

実際、最初はお客様に声をかけられなかった、という人もいるようです。

また経験値は必ずしも必須ではありません。実際、「薄型テレビ販売日本一」は経験2年半の20歳の女性です。「平均で平日は10台。土日は20台」売っているとのこと。

記事を読んで感じたのは、実直でひたすら努力する人が多いということです。

営業の基本は、お客様を理解すること。言うまでもなく当り前のことですが、この18人に共通するのは、この当り前のことを単なる精神論で終わらせずに、「お客様をどのように理解するか?」「理解したお客様に対して、何をして差し上げるか?」を、自分の目の前のお客様に対して必死に実践している点です。

ちょっとした差が、大きな差になっていると感じます。

また、記事を読む限り、この18人には「競合と差別化するために、何をするか」といった視点はありません。愚直にお客様のことだけを徹底的に考え、愚直に実行している姿がそこにあります。

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新原浩朗著「日本の優秀企業研究」でも、日本の優秀企業の条件は、「自分たちが分かる事業を、やたら広げずに、愚直に、まじめに自分たちの頭できちんと考え抜き、情熱をもって取り組んでいる企業」としています。

共通したものがあります。これが日本人の成功パターンなのかもしれませんね。

しかし、みんな本当にいい顔をしています。

日本一になるのは、単なるテクニックではなく、全人格な深い「思い」がそこにあるためなのではないでしょうか?

記事を読んでいて、何故か、ジーンと来ました。

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