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10のフラット化要因が生み出した3つの潮流

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前回までご紹介してきた、"The World Is Flat"のフラット化10の要因により、3つの大きな潮流が生まれました。

1.まず、リアルタイムのコラボレーションを実現する、インターネットによる社会・経済活動の場が生まれました。

2.合計30億人もの人口を持つBRICs等の新興経済国がグローバル経済に参入しました。先進国にとっては大きなビジネス機会であると同時に、競争相手として大きな脅威です。例えば現在、世界の博士号取得の半数がインド人と中国人で占められています。中国やインドは単に「安い人材」の供給源であるだけでなく、「優秀な頭脳」の供給源でもある、との認識が必要です。

3.企業レベルでは、独立した垂直サイロ型の組織の集約が進み、水平型のプロセスのコラボレーションの時代に入りつつあります。

 

圧倒する人口と知的資源で、BRICs諸国は先進国を追いかけています。一方で、米国内の子供の学力低下が問題となっています。

本書が米国で読まれているのは、フラット化する世界の中で、BRICs諸国と全く同じ土俵に立たされる米国が、数十年後には先進国の地位を保てなくなる、という危機感が背景となっているようです。

考えてみれば、状況は日本でも全く同じです。このような新しい世の中で、我々はどのようにビジネスを行っていくかが問われています。

解決すべき課題は沢山ありますが、カギとなる一つが「イノベーション」である、と思います。

つまり、BRICsを含む世の中の知恵や経営資源を使い、ITを活用し、市場の洞察と組み合わせて、イノベーションにより新しい価値と市場を継続的に生み続けるプロセスが必要なのではないでしょうか?

このようにグローバル化する経済の中で、IT業界はどのようにあるべきかを考える上で、本書は大きなヒントを与えてくれるように思います。

 

ところで、"The World Is Flat"の原書は約500ぺージあります。私は決して英語が得意でないので、読むのは結構大変でした。

ご参考までに、本書のダイジェスト版CDを聴いて理解する方法もあります。聴き取り易い英語なので、英語リスニングの教材のつもりで買うのもいいかもしれません。特に本書のキモとなっているフラット化10の要因の部分は2時間程度ですので、iPOD等に落とせば1日の通勤の行き帰りで一通り理解できます。

もっと短時間で理解したい、という方は、ニューヨーク・タイムズのサイトに400行程度の要約があります。かなり内容を絞っていますが、手っ取り早くキャッチアップしたい人にはこちらもオススメです。

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