ネコの時間:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) ネコの時間

ネットベンチャー経営の合間に、感じたこと、考えたことをダラダラ書きます

「オタクは堅い会社だから安心だけど、IT業界って色々あるでしょう…」というようなことを、言われたりする昨今、皆様如何お過ごしでしょうか。

僕は、随分長い間、大学を卒業直後に就職した会社で定年まで勤め上げるだろうと思っていましたし、またネットベンチャー企業のマネジメントをやるとは、夢にも思いませんでした。

大学を卒業して入社した企業では、地方の鋳物工場の資材課に配属され、鋳物用資材の調達・購買を担当しました。お恥ずかしい話しですが、入社前一部上場企業の調達という業務を、激しく誤解をしていました。僕のイメージでは、端末のボタンを押すと、スクリーンに各資材の値動きやら市場動向やらが、鮮やかなグラフィックで広がって、それに基づきダイナミックな意思決定をするのかなあ…と思っていたわけです。 端末を見ながら、マイクで「トム、オーストラリアの鋼材を2000トン至急押さえろ!!」みたいな指示をだすイメージ。

実際に行った最初の仕事は、B4の汎用紙に打ち出された各納入業者の支払いに手形を割り振って、手書きする業務でした。次に担当になったのが、現場からくる依頼に応じて、電話で注文する仕事で、「丸棒二本、鋳造部門に、●月●日までに納めてね」みたいなことを伝えるわけです。
鮮やかなグラフィックも、バイヤーのトムも、存在しない地道で、地味で、退屈な日常。

何故、こういう昔話をするかというと、ネットベンチャー企業と聞いたときのイメージは、現在の一般的日本人にとってかなり歪んだものが、出来上がりつつあるのではないか~僕が入社前に抱いた一部上場企業へのイメージ位現実離れをしているのではないか…と思うからです。

IT系企業といっても、六本木ヒルズにオフィスがあるわけではありません。築何十年のビルにオフィスはあります。女子アナや女優と合コンをするわけでもありません。M&A、株交換などを絶えずやっているわけではありません。 (手法としては、有効ですし、必要と思います)スイスの銀行に仮名口座を開設しているわけでもありません。(マフィアか?)

毎日、毎日、地道な業務の繰り返しです。ターゲットカスタマーリストをつくり、コンタクトをとり、提案書を作成し、説明し、注文をとり、サービスを提供する。企画をし、開発をし、サービスに仕上げて、提供を開始し…。とても普通のことを、普通に真面目にやっています。
よく、若者が集まって2~3日でシステムを組み上げてサービス開始…みたいなイメージもありますが、ガキが2~3日で作れるサービスが通用する世界なんて、高々しれているわけです。実際には、良いサービスを作るには時間がかかりますし、キャパシティやセキュリティなどへの配慮もあり、中々大変なわけです。こういうことには、オールドエコノミーもニューエコノミーに違いはありません。(それに、弊社の場合は、平均年齢も高い~これは問題です)

IT業界そのものに、社会的に大きな疑問符をつけられているような風潮が昨今見受けられます。殆どが的外れですが、世間的なイメージというのは得てしてそういうものだと思います。真面目に努力する中、成熟したIT企業が、社会的貢献をすることにより、初めてこういうイメージを払拭できると思いますし、弊社もそういう企業になれるように努力をしたいと思っております。

lonesome
コメント
ねこまっしぐら 2006/02/09 09:12

ベンチャー企業に偏ったイメージが付きまとうのは、ひとえにマスメディアに原因があると思います。
「新しい事を始めて成功した人」というのを紹介するのはいいのですが、それがごく一握りの人間だという事はあまり伝えられていませんし、分かる人、知っている人しか知らない事でもありましたし。
多くの人は、「ベンチャー=新しい事業=儲かる」という認識なのではないでしょうか?
そこに加えて堀江氏の問題が起きた事と、ベンチャー独特の綱渡り的イメージで、企業としてはマイナスとなる認識がついてしまったと思われます。
私は全てがそうと思っていませんし、大半の人もイメージがそのまま現実でない事は承知しているでしょう。
しかし、一つりんごが腐っていると、他もそうでないかと疑ってしまうものです。外が腐ってしまったりんごは見分けが付いても内側が腐ったものは見分けがつきませんから。
金田さんの言うとおり、真面目に努力し、熟成させる事、そしてそれを社会的貢献という形で周囲に偽りなく伝える事でマスメディアの与えた偏った認識を拭い、腐ったりんごではない、全く問題ないりんごである事を認識させる事が、今の各企業には必要なのでしょうね。

矢沢@バニー 2006/02/09 10:51

確かに、一部マスコミが作った「ベンチャー像」には疑問があります。イメージはそのまま「山師」ですよ。

ベンチャーといっても決して浮ついた世界ではなく、地道にステークホルダーの信頼を得ていく工程の
連続じゃないですかね。その評価として、夏休みまえに通信簿を渡されるように、
決算がありIPOがあるのだと思います。IPOって、通信簿の結果、資金調達が出来たり、
その他いろいろな余禄があったり・・・。

勘違いの結果、IPOが目的化して、売上を見かけ上上げるために会社買収したり、
全く違う事業領域の会社買ったりしているベンチャーって結構多いのではないでしょうか?
(事業拡大手法のM&Aは否定するものではありませんが)IPOの為だけに合併して見掛けの
売上高あげるケースも最近多いと聞いています。これってステークホルダーに対する裏切り行為では?
と思う事さえありますね。

金田 2006/02/10 01:50

小さな会社が、成長を遂げる為には、やはり自分達の強みに特化する必要があります。その強みを更に磨くため、もしくは内部リソースではカバーできない周辺エリアをM&Aで補強するのは、小さな会社の成功には、有効な戦略の一つです。
また、多くの優秀な人材を招聘し維持するために、株主と同様、IPOにより多くのメリットを還元し、その貢献に報いるのも重要です。
問題は、Corporate Citizenshipのような考え方を理解し、社会に対して貢献、利益の還元を行うという使命感をもった見識のあるリーダーがいるのかということかと。
そういうリーダーによって率いられている会社であれば、数字合わせのためのM&Aなど、するはずはありませんし、自然淘汰され、本物だけが生き残るはずであると信じています。(数字合わせで、奇跡的にIPOしたとしても、長期間利益を計上し続けるのは無理です)

やはり、一つの産業が成熟するまでには、時間がかかるという事だと思っています


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金田直之

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株式会社ニューズウォッチ社長。ニューズウォッチは、独自の自然言語処理技術をもとに、法人向けニュース、サイト内検索ASPのトップランナーであり、最近では、運営サイトであるフレッシュアイでnewswatch@fresheyeというユニークなニュースサービスも行っている

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