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イベントでのtwitter活用まとめ。TechDaysでやってみたこととその考察

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「どうやらTechDaysではtwitterがかなり盛り上がっていたらしいぞ」という噂が
社内で先行してしまったこともあり、社内向けにいさごが何をやったかを
報告しておくべきではなかろうかという空気感が醸成されつつある。

が、いかんせん社内報告は私の大の苦手科目であり、いっこうに萌えず進捗が
激しく芳しくないので、いっそ外に公開するつもりでまとめてみることにした。

もちろん、社外秘的な情報は割愛するが、経緯や、実際にやったこと、
反響、考察といったあたりを、ここに書き綴っておきたい。

■ 実際にやったこと

「ほんと今回、twitterの使われっぷりがすごいなぁ。 #techdaysj 2010-02-23 16:09:57」

という反応を多くの方からいただいたTechDays2010ではあるが、実際に我々が
仕掛けた「こと」だけに着目すると非常にシンプルで当たり前のことしかしていない。
かつ、その展開はマイクソフトらしからぬ、かなりゲリラ的なものだった。

1. ハッシュタグ #techdaysj を定め、hashtagsjpに登録。ゲリラ的に告知
2. ライブストリーミング配信画面の右にTL表示アプリを掲載
3. キーノート会場でTL表示アプリを、ハッシュタグの案内とあわせ大画面に表示
4. 会場内全域の無線LANと一部プレミアムシートに電源を確保
5. スピーカー、関係者が魂を込めてつぶやく

このうち1,2,3,4はみなさんも今後機械的に導入できるだろう。
1.については「なにをもって公式ハッシュタグと呼ぶか?」という緩やかかつ、
移ろいやすい議論だと思われるが、今回のタイミングでは hashtagsjp への
イベント登録
をそのよりどころにすることにした。ふぁぼったー他への煽りは
特に行っていない。なお、#techdaysjという文字列になった経緯としては、
- 「短くシンプルに」はわかっちゃいるが…
- ぱっとみてわかるものにしたい(#tdy10とかだと何のことだかわからない)
- #techdays は世界中の関連イベント発言が混ざってしまうので"j"つけようか
といったところだ。ゲリラ的な告知を行った私のブログポストで関連しそうなものの
リンクを掲載しておく。

Twitterを活用したTechDaysの楽しみ方(その1)
Twitterを活用したTechDaysの楽しみ方(その2)
Twitterを活用したTechDaysの楽しみ方(その3)
【緊急来日】SteveMarxがTechDaysにやってくる!セッション情報も追加掲載

2と3は、ソフトウェア屋ならでは、というところかもしれないが、アプリケーションを
用意することで対応している。ストリーミング画面横のふるふるするtwitter TL
表示部分はSilverlightの鬼 @oniak3 が作成。追ってソースが公開されるだろう。
私からの依頼は、USTのようにTLをストリーミング画面の横に表示して欲しいという
ものでしかなく、時間もないのでブログパーツでもはめ込んでおけばよいかな…
といった程度の認識でしかなかったが、 @oniak3 の手にかかると何でもSilverlightで
ステキな感じに実装されてしまうのは身内ながら「さすがっ」といったところだ。

Techdayskeynote01

3.の表示アプリは、Azure開発でもご活躍されている @harutama さんに依頼し、
作成していただいた。お声掛けの発端は、以前講演ご一緒したカンファレンスで、
彼がtwitterボットをAzureのWorkerRoleを使って実装してくれたことで、
twitter API の扱いに慣れているだろうという私の勝手な期待であった。

Flitter01

昨日、背景などを変更できるようになった改変版のバイナリとソースを公開して
いただいているようなので、ちょっとした集まりでプロジェクタ投影をして場を
盛り上げたいという方はご活用されてみてはいかがだろうか?MIXやPDCなど、
マイクロソフト主催のU.S.で行われるカンファレンスでは定番的にこういった
取り組みが展開されている。

私がリアルに体感したのは昨年11月のPDCのときのこと。世界中の開発者が
集まる会場の大画面に自分のつぶやきが(しかも日本語で)表示されるのは、
ちょっと嬉しかった。日本でもやってみたい!(何が起こるか見てみたい)という
思いつきが行動に至ったモチベーションである。

■ 反響

2日間の会期をはさみ、非常に多くの発言で盛り上がった。ひとえにこの
#techdaysj TLに参加していただいたみなさまのおかげであり、改めて感謝申し上げたい。

Chart

ハッシュタグクラウドで後日取得したTLのログ(HTML形式)を掲載しておく。

22日まで | 23日分 | 24日分 | 25日以降 | "j"付け忘れ
※見たところコメントが所々抜けていそうである
※文字化けする方は右クリック保存してから開いて日本語自動選択で回避(Thx @onos)

■ 経緯
開発者のみなさまとのコミュニケーションをよりよいものにしてゆこう、
という志のもとtwitterを活用していろいろ仕掛けてみよう、という話は、
@shin135@haramizu@tomohnの3名が中心となってアングラに策を練ってきた。
広告代理店の提案を受けて、といった、受け売り的な展開ではない。
ただ、裏の事情を明かしてしまえば、TechDaysの段階では準備万端というわけでもなく、
例年8月末に行われるTechEdあたりを暗黙的なターゲットとしていたのである。

結果として満員御礼となったTechDays2010ではあるが、途中、かなり高めに設定した
集客目標に対して未達という時期があり、コスト抑制圧力も厳しい中、ゲリラ的に
できることはないか?ということで、TechDays2010の企画運営コアメンバーであった
私が苦肉の策でtwitter展開策を見切り発車してみたというのが実態だ。

いろいろと紆余曲折はあったのだが、議論の過程を残しておきたいもののひとつに
公式アカウントの扱いがある。イベントを盛り上げるためにtwitterの公式アカウントを
用意しよう!という発想は多くの方にとって自然なものだろう。我々も当初その方向で
短絡的に考えていたのだが、@gosukeの激しい抵抗に遭い、結果運用されずに終わった。

@gosukeはマイクロソフトの中で microsot.com/japan サイトの責任者などを務めた後、
現在はソーシャルメディアを活用する係であり、彼の意見を無下に無視するわけにも
いかなかった。ただ、今冷静に振り返ると@gosukeの主張は正しかったと思える。

- 継続的にフォロワーをケアできない一過性のアカウントは運用すべきではない
- キャラがたったエバンジェリストがいるのなら、リアルな人格で接するべきだ
- そのためには公式アカウントではなく公式ハッシュタグの方が望ましい

おっしゃる通りなのだが、「キャラがたったエバンジェリスト」というところが次の
問題となった。確かに、リアルな世界では真なのだが、ことtwitter界隈で、というと
それほどアクティブに発言をしていないメンバーもおり、フォロワー数を見ても、
OSS系で活躍されている方々に比べると、絶対数が多いとは言えない状況を
どうにかしなくてはならなかった。そこで、社内でtwitterを使っている人たちの
アカウントを拾い集め、リスト化して相互フォローの促進や啓蒙活動を地道に行い、
その波及効果に期待することにした。一部スピーカーのtwitterアカウントは、
ブログなどを通じてゲリラ的な露出も行った。機械的に行っていたのであれば、
公式サイトのセッションやスピーカーの一覧画面でまとめられていてもおかしく
ないと思われるが、今回そこまで踏み込んだ対応は行っていない。

■ 考察、示唆

なにをもって成功と評するべきかは、事前に目標設定や投下予算が決まっていた
話ではないため定量的に議論できるものではないが、仕掛け屋の肌感覚としては
大成功だったとおもっている。ここでは、そのKSFを考えてみたい。

イベント全体の満足度調査という形で現れてはいるのだが、TLをみて振り返ったり
参加者のみなさんの話を聞いていると、下記のポイントが評価されたように思える。

参加者目線)
- キーノートや丸レクでは副音声解説的に内容や会場の状況を補完できた
- スピーカーを身近に感じることができた
- 隣のセッションの様子が伝わってきて便利だった
- tsudaっていたTLが、まとめ作成時に役立った
- パーティーの際にTLでしか見ていない人とのリアルな出会いが新鮮だった
- より一層参加してる感じがして楽しかった

主催者目線)
- アンケートでは拾えない生の声がリアルタイムに把握できた
  - 普段なかなか書いてもらえない自由記入式設問に匹敵する充実したフィードバック
    (次回以降の改善につながりそうなコメントも少なくなかった)
  - おやつが少ないとの不満→即協議→増量、と、ものによっては会場で即座に対応できる
  - 好意的、応援してます風のメッセージに、スピーカー&関係者一同大いに励まされた

- タイムリーに会場内のお知らせを通知できた
  - ランチボックスやおやつの支給のお知らせ(誤解、周知不徹底の是正)
  - 丸レクへの誘導など、会場内のご案内などに活用
  - アンケート回収の呼びかけ

- 金銭支出という意味では実質コストゼロで実施できた

そして、これらの成果につながった原因を考えてゆくと、次の2点に収斂される。

- スピーカーや関係者が魂や愛を込めて人間味のある対応を行った
- 世の中におけるtwitterの普及具合がちょうどよかった

twitterのようなソーシャルメディアでは、UCCの事例を見るまでもなく、人間味のある
対応を行うことが成功の鍵であることが経験則として広まりつつあるが、今回も
結果的にはその要素が大きかった。twitterというのはたまたまタイミングよく存在した
手段であって、その上に展開されるコミュニケーションが誠意や善意のもとに
行われたことがなにより大きいだろう。我らが本部長@akihiroo7にいたっては、
キーノート舞台袖ですかさずつぶやいている。自分の話を聞いてくれている皆様に
敬意を持って接したいという想いの表れの一端と言えよう。

そして、付け焼き刃的なゲリラ対応でありながら、大きな事故がなかったことも、
特筆に値する。ここでいう事故とは、端的に言うとTLのモラルハザードである。
内容がつまらないといった趣旨の発言は、我々にとっても真摯に受け止めるべき
ありがたいフィードバックであるのだが、単なる冷やかしや荒らし的な行為が
まったく怖くなかったといえば嘘になる。その点、TechDaysにご来場いただいた、
興味を持っていただいた皆様の中で、twitterを活用して情報発信いただいた
みなさまの意識レベルの高さに感謝している。

twitterの普及がもう少し進んで一般的なものになってくると、いろいろな方々が
混ざってくるため、残念なことではあるのだがモラルハザード対策に真剣に
取り組むべきタイミングがそう遠くない将来くるかもしれない。とはいえ、
「TLの表示アプリにつぶやきの承認プロセスを実装するか?」といわれると、
そこまでして…やるのもなんだかな、と思ってしまう。我々ができることは、
日頃接している皆様と真摯に向き合い、良質なコミュニティを大事に育てて
ゆくことくらいだろう。

最後に、今回、我々は非常に多くの学びを得ることができたのも、興味を持って
参加いただいた皆様の協力のおかげである。改めて感謝の意を表したい。

 

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