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丸山先生が語るAzure。マイクロソフトのエバンジェリストよりわかりやすい?解説に刮目せよ

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エンタープライズ・クラウドフォーラムにおいて丸山先生に
「サービスが出そろったいま、改めて考えるエンタープライズ・クラウドの現在と未来」
というタイトルで、基調講演を行っていただいた。度々他社媒体の話で恐縮ではあるが
客観的に見てもよい話なのでご紹介させていただきたい。

丸山先生というと、稚北=Java、あるいは日本アンドロイドの会会長というイメージで、
あまりマイクロソフトとの関わりが強そうには思われないかもしれないが、昨年のPDC2008で
Windows Azureを見ていただいて以降、Azureのアーキテクチャや世界観にに惚れ込んで
いただいており、Azureを語らせたらそこらのマイクロソフト社員より256倍以上わかりやすく、
みなさまにご好評いただいている。

以下、丸山先生の発言を一部引用させていただく。

「一般に,後発のものほど機能などが充実している。」

確かにその通りだ。マイクロソフト側で関わる身としては、EC2やGAEで新しい発表を聞くたびに
焦る気持ちも正直あるのだが、冷静に考えれば最後発で準備を開始した我々の方が、先達の知恵を
活かしつつ、最新のアーキテクチャと設備でサービスを提供できるのもまた事実。黎明期で
発展著しいこの分野ではあるが、相対的な投資余力含め、常に「後出しじゃんけん」の戦略を
とれるポジションは、みなさまに競争力あるサービスを提供してゆく上で非常に好都合である。

「既存システムのクラウドへの移植,リレーショナル・データベースの利用,キーバリュー型
データストアの利用などが可能で,スケーラビリティにも優れている。こうした観点で
Windows Azure Platformは高く評価できます。」

非常にありがたいお言葉。クラウドというと安かろうという先入観で価格にばかり目が
いきがちな方もいらっしゃるが、丸山先生の話を聞くとスケーラビリティの重要性を
あらためて再認識させられる。スケールアウト可能なアーキテクチャ設計というのは、
天才がいれば別ですが、ソフトウェア開発において非常に難しいテーマの一つである。
個別アプリケーションごとにスケーラビリティに苛まれることなく、Azureの豊富な
ストレージをうまく使えば誰でもスケールアウト可能なアプリを開発できるという
コモディティ化は、世の中に対して非常に意義のある変革といえる。

「また、クラウドと自社運用の境界が滑らかで,両者の併存や移行も容易。.NETの開発者は
現在のスキルでクラウドに移行できる点も特徴です。エンタープライズ領域のクラウドには
大きな空白がありますが,マイクロソフトは本気でこの分野のビジネスに取り組もうと
しているようです」

そう、本気である。ただ、エンタープライズ向けのクラウド利用については、まだやはり
空白があるのも事実。将来的にはホストで実行している大規模バッチをクラウドに移植して
分散アーキテクチャ構成がとれるようなところまで実現できればよいのだが、そのためには
もう少し時間がかかりそうだ。逆に言うと、このような状況がいずれ訪れるという確信が
あれば、むしろ第一人者を狙ってみてもよいのではなかろうか。

丸山先生をはじめ、比較的シニアな世代にクラウドが人気を博しているのは、彼らが
数十年前に経験した最初の電算化による変革を、もう一度やってみたいという心の奥底に
眠るチャレンジ精神が影響しているのではなかろうかと思う。それぞれ責任ある立場に
ご出世されて、おいそれと気軽にトライアルしてみるわけにもいかないかもしれないが、
若者をよい方向にたきつけて、IT業界を活性化させいただきたい。

「クラウドとモバイルは互いに影響を与えながら,相互補完的に市場を拡大していくでしょう。
例えば,消費者向けのビジネスを展開している企業であれば,パブリック・クラウドを
活用することで,より多くの顧客と接点を持てるようになるでしょう」

さすが、アンドロイドの会会長の視点。そして、これはまさにRay Ozzieが大好きな
デバイスクラウドの世界観でもある。クラウドとモバイルの狭間で今のクライアントPCや
オンプレミスサーバーは違う方向に進化してゆくかもしれない。そのための準備をWindows7や
Windows Server 2008R2で少しずつはじめているのである。

Windows Phoneに関して現状語れることが少ないのは申し訳ないが、この分野に関しても
AppleがiPhoneで切り開いてくれた市場を、より大きく広げるために準備を進めている。
Windows Mobile 6.1/6.5と別系統で開発されているMobile 7には要注目だ。

以上、丸山先生のお言葉をいくつか引用し、補足してみたが詳細はIT proさんのページ
ご参照いただきたい。また、他社媒体コンテンツ紹介ついでに、翔泳社さんのEnterpriseZineでも
ここのブログよりはややマジメに私がWindows Azureを連載で紹介
させていただいているので、
適宜ご参照いただければと思う。

なお、昨日ご案内したTech・Edのキーノート配信、現在絶賛配信中である。
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