アジャイルに行こう!

スクラムの原典を読み解く(3)

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プロジェクトチームは自ら組織化する

チームは不安定な環境から自己組織化し、対話の中で自律状態を作り出す。

オリジナルでは...

不安定な環境から、チームの動的な秩序が生まれる。チームが自ら組織化を始めるのだ。自己組織化されたチームの状態には、(1)チームが自律しており、(2)常に自分たちの限界を越えようとし、(3)異種知識の交流が起こる、という特性がある。

マネジメントができるだけ口を出さないようにすることで、スタートアップ企業のような危機感と活気が同居したムードがチームに起こり、チーム自身が最初に設定された目標を超えて新しいゴールを設定するようになる。開発だけでなく生産や営業の人間をチームに交えることで、境界を越えて交流が起こるようになる。
例えば富士ゼロックスでは、FX-3500の開発チーム作る際に企画、設計、製造、販売、流通、品質保証のそれぞれのグループからメンバーを集め、多機能チームとして全員を1つの場所に集めた。いわゆる大部屋だ。こうすることで、自然に情報が共有化され会話が起こる。しばらくすると、自分一人の立ち居地だけでなくチーム全体としてのベストな決定は何か、という視点で考えるようになる。全員が他人の立場を理解することで、それぞれが他人の主張に耳を傾けるようになる。

アジャイル開発では...

同様に、アジャイル開発のスクラムでは、スプリント期間内に部外者からの指示を遮断し、「プロダクトオーナー」を通してのみ要求が入ってくるようにすることが基本のルールになっている。チームは自律してスプリント内のバックログの完成に注力する。と同時に、「スクラムマスター」はメンバーに指示を与えるのではなく、チームが自分たちで決定できる環境を支援するのが役割となっている。スクラムマスターは、チームに立ちはだかる障害物をどけて回るのが主な仕事だ。つまり、スクラムはあくまで自律性を尊重したチームづくりなのだ。

さらに、チームは1つの部屋に集まることが基本とされている。ウォーターフォールのソフトウェア開発では分業化が進んでしまった要求分析者、設計者、実装者、テスターという枠組みをはずしてチームを組むことで、異種知識の交流が起こり、自分の専門外の役割にも貢献できるような仕組みになっている。

スクラムではこの「自己組織化」(self-organization)という言葉が頻繁に使われる。このコンセプトのオリジナルは、ここであると同時に、複雑適応系の理論であろう。

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