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アジャイルに行こう!

Lean Startup リーンスタートアップ解説(1)

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サンフランシスコ周辺で最近大きな話題になっている、リーンスタートアップ、について、簡単に導入解説したいと思います。

これによって、アジャイルは「既存の組織改革」という1つの出口から、「新しい起業の創業(スタートアップ)」という、もう1つの大きなビジネスホームグラウンドを見つけたように思います。

この資料は少し古くて、2009年に Eric Ries が Web2.0. Expo にて発表したものの一部です。オリジナルスライドはこちら。

「ウォーターフォール」、「アジャイル」、そして「リーンスタートアップ」、という3段階で説明していきましょう。

1 ウォーターフォール型の製品開発モデルでは、問題が既知で、解法も既知、という前提にたっています。計画したことが計画通りにうまくいけば、それでOKという世界観です。

ここでの進捗単位は、工程を1つ進む、ということ。となります。計画駆動の進め方です。


2 これに対する反動として、ソフトウェア開発から起こったのが、アジャイル開発です。ここでは、製品を作る側は「イテレーション」と呼ばれるループを回しながら開発します。ただし、要求はプロダクトオーナーと呼ばれる人が提供することになります。問題がKnownであれば、すなわち、開発対してバックログをフィードしてあげることができれば左側が Known になり、それはAgileのみで解決できるのだ、と言っています。


3 そして、リーンスタートアップ。スタートアップでは、顧客を作ること、すなわち「顧客開発」が重要となります。この部分は、Steven G. Blank による "The Four Steps to the Epiphany" (邦訳: 『アントレプレナーの教科書』)で大きく光を浴びた部分。この顧客開発(仮説を回して顧客に関する知識を蓄えていくこと)を全体のループに入れるのです。ここでの進捗は、「顧客に関する検証された知識」、です。この顧客に関する知識が、スタートアップではもっとも重要な学習要素であり、これが確固とした進捗になります。(おそらく次回に説明する) pivot (ピボット - 方向転換)でも、この得られた「顧客に関する知識」を軸足にして、方向を転換していくのです。


4 このループを、よりコンセプト的に整理しているのがこの図で、これが、Lean Startup の肝になる図です。BUILD-MEASSURE-LEARNというループで表現して、それぞれをプラクティス展開しています。

それぞれのプラクティスには、アジャイルからきたものもあれば、マーケティング手法からきたもの、クラウドに対するデプロイ手法からきたもの、などなどが配置されています。


現在、このリーンスタートアップは大きな脚光を浴びていて、先ごろ行われた Railsconf の基調講演、さらには、Sllconf(Startup Lessons Learned Conference)でも基調講演となっています。新しい本、"The Lean Startup"も準備中、ということで、大きなウェーブを作り出しています。

ぼくの会社、チェンジビジョンでも、現在、astah を核に、新サービスをどんどんトライしたいと考えています。実は、昨年まで、結構大きな製品仕様を考えて、それにどーんと投資してやろう、なんて考えていました。でも、これはおそらく、大きな失敗に到る道なんだろう、と考え直しました。

つまり、製品に大きな仮説(これを作ったら売れるだろう)を抱えたままで製品開発し、顧客価値に結びつくかどうか分からない大きな在庫を作ることになるんですね。逆に、徹底的にマーケットを調査分析して、これなら売れる、という企画を作っても、そもまた仮説。

顧客開発と製品開発を両輪で回しながら、リーンに(low burnで)製品と顧客を結ぶ細い線を実際につくり、それを太らせていく。その過程で顧客に関する知識を蓄えていく。そんなやり方が、現代的なやり方なんだ、ということを、このリーンスタートアップで悟りました。

ちょっとずつ、実験と顧客開発を重ねて、進みたいと思っています。製品のタネはここからだします。(チェンジビジョン・ラボ)

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