ICAgile - アジャイル認定制度!
ICAgile というアジャイルの国際コンソーシアムが、Alistair Cockburn のリードで設立され、アジャイルのスキル認定を行うらしい。
これまで、Scrumという手法の認定があったが、アジャイル全体に関するものはこれが初めてだ。内容をWebサイトで確認できるが、現在は、"Soft Launch" モードであり、正式公開への準備を進めている。サイトを読んで、特徴だと思った点を列挙しておく。
- オープンなプロセスにしようとしている。
- ソフトウェア開発が「学びのプロセス」(Learning)であることを重視。
- IIBA(International Institute for Business Analysis)やSQE(Software Quality Engineering)ともパートナシップを持つ。
- スキルは学びであることから、3フェーズの認定とし、取得を journey としている。
- 1フェーズ目のアジャイル基礎に続いて、2フェーズ目のスキルには、Software Design, Testing, BA(Business Analysis), PM(Project Management), Facilitation, などのトラックも入っている。(ここは、平鍋の好印象だ)
- それぞれの教育は、「目的」(Learning Objective)のセットとして定義されている。このセットはオープンになっており、これで、教育や評価の基準としよう、というわけだ。(ここもとても良く出来ていると思う)
- Soft Launch モードであり、正式ローンチは今年末を目指している。
2フェーズ目のFocus Track Development として現在選ばれているのは、
- Agile Software Design and Programming(ソフトウェア設計とプログラミング)
- Agile Project Management(プロジェクトマネジメント)
- Agile Coaching and Facilitation(コーチングとファシリテーション)
- Agile Business Analysis(ビジネス分析:BA)
- Agile Product Management(プロダクトマネジメント)
- Agile Testing(テスティング)
- Agile User Experience Design(ユーザー体験)
といった、とても納得できる、スキル群を構築している。ソフトウェアの設計やプログラミングといった、おそらくオブジェクト指向の原則やパターン、テスト駆動開発、テスト容易性とリファクタリングなどからなるであろう構築スキル、PMやBA、QAといった、ウォーターフォールでも昔から重要なスキル、アジャイルでは特に重要になる人間を扱うコーチングとファシリテーション、そして、アジャイルが最も恩恵を与えるであろう新興分野としてのユーザインターフェイス設計。新旧織り交ぜてバランスの取れたスキルセットになっている。
ぼくは、アジャイルが「本では伝わらない」もので、それを人づてに伝えていく、ということは本質だと思っている。また、優秀なコンサルタントたちがちゃんと職業として続けていくためにも、偽者と本物を区別する何らかの認定はあったほうがよいと思う。ただ、お金が絡む問題でもあるために、アジャイルコミュニティの中ではいつも政治的な議論が絶えない話題であることも確かだ。
この認定が、今後どういう反響が起きるかはまだ分からない。アリスター自身も、いま Agile2010 に参加して、これについてディスカッションをしているだろう。ぜひ、日本からも応援したいと思っている。