"So" という単語はとても便利で、会話の中で良く聞く。特に、日本の同じ発音の「そう」と意味が同じになる場面があり、このことが日本人に so を使いやすくしていると思われる。

"I think so, too"  -- 私もそう思う

ところが、この単語、日本人が連発する英単語の接続詞で、「…です。ですから…」という文脈で使われる。「そうなので」という感じだ。

The movie was French, so I didn't understand.
フランス映画だった。そのため、私には分からなかった。

論理の方向としては「左だから右」という風になる、ところが、この使い方ととても近く、区別のしにくい別の使い方がある。それは、「…するために…」という用法。

The video is subtitled in Japanese so you can understand.
そのビデオはあなたも分かるように日本語字幕がついている。

のように、「右するために左」という論理だ。書き言葉ではカンマがポイントになる。この2つは区別が難しい、、、というか、日本語では別の論理のように聞こえるが、英語思考上は近いのだろうと推察する。左と右との関係が、「原因、結果」、という並列になるのが最初のケース。結果を言うために原因を先に言っている。これに対して、後の例は「事実、理由」という意図表現している。事実を先に言って、その理由付けをしているともとれる。

この用法は、間に that を入れて、

The video is subtitled in Japanese so that you can understand.
そのビデオはあなたも分かるように日本語字幕がついている

とすると、受験英語で習った形になって、理解しやすいかもしれない。

                            *                         *                         *

Explainingmindmapagile2008small この区別(用法)をはじめて腑に落ちて理解したのは、ぼくが Agile2008 で英語のプレゼンテーション中にビデオを見せたときだ。ぼくは日本で撮ったビデオを持っていき、英語でプレゼンした。セッションは、トヨタ生産方式(TPS)に関するもので、ビデオは日本語だったため、ぼくが同時通訳で英語を入れることによって、内容を観客に伝える、という企画だ。特にTPSは海外から見ると「日本文化の不思議」と相まってとても奇異に写ると同時に、「東洋の謎」のように秘密めいた内容に見える。その時に、

OK, here's the video, but it is in Japanese. So you won't understand....(So I'll  simultaniously translate it for you.)
ではここでビデオをお見せします。でもそのビデオは日本なのであなた方には分からないでしょう、、、、(だから、ぼくが同時通訳して差し上げます)

と言おうと思った。ところが、2番目の文章、So you won't understand. を言った所で全員が爆笑した。ぼくは何が起きたのか、はっきりと理解できなかったが、あとで反芻してなるほど、と納得することができた。それは、ぼくの文章の切り方、および、won't の使い方で(日本語で言うところの)別の意味の so になって米国人には聞こえたのだ。彼らはにはこう聞こえた。

OK, here's the video, but it is in Japanese so you won't understand.
ではここでそのビデオをお見せします。このビデオはあなた方には分からないように日本語になっています!

なんと、「ぼくは東洋の秘密を持ってきたが、あなた方アメリカ人に分かられては困るので、分からないように日本にしました。」と聞こえて、これが(ぼくのキャラクターと相まって?)とても面白いジョークに聞こえたらしい。

このような経験ひとつひとつが、まさにコンテクストの思い出と結びついて、1つの英語パターンの理解に繋がっている。

(※ 写真は Agile2008 での私のプレゼン中の様子)

P.S.

もう1つ、アジャイル開発では「ストーリーカード」という文章を完結に記述した紙を使ってソフトウェアの仕様を開発者に伝えるが、そのフォーマットにこういうのがある。

As a ... (role)
I want to ... (feature)
so that ....(benefit)

その仕様(機能、ユースケース)の伝達に使われるフォーマットだ。

(役割)として、
私はこうしたい、(機能)
何のためにかというと、(利益)

という感じ。この so that が、目的を説明する句になっていて、それが、このコラムで焦点とした、so の使い方だ。これを最近では、利益を先に明示して、

In order to ...
as a ...
I want to ...

という風なフォーマットも使われる。これは、so that をより明確に目的を示す句である、in order to に置き換えて先頭に持ってきたものだといえるだろう。

平鍋
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プロフィール

平鍋 健児

平鍋 健児

株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、永和システムマネジメント副社長。
オブジェクト指向開発、UMLの勘所、アジャイルな開発手法の未来、マインドマップのソフトウェア開発での利用方法、プロジェクトファシリテーション(見える化)を語ります。現在、マインドマップとUMLの融合エディタ、astah*(アスター、旧JUDE)を開発中。

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