ソフトウェア技術者のための英語(6: 発音 )
【発音をマスターする】
英語を話す上で、発音をしっかりすることはどの程度必要あるだろうか。
ぼくは、いろんな国の人がそれぞれ癖のある発音で十分通じる英語を話しているのをアメリカその他で見てきて、実は発音はそれほど重要ではない、むしろ、文脈力、例文力だ、という結論に達している。なので、仕事として英語を活用する年齢に達してから、発音をどうにかしよう、とする優先度は劣後だと思う。日本語的な英語発音でもよい。
ただし、「一貫した発音」をするのは重要。一番伝わらない英語は、英語っぽく発音しようとして、いつでも "r" の発音みたいに舌を丸めてしまうこと。とても不明瞭な発音になり、普通の日本語式のカタカナア発音よりもさらに伝わらない。
さて、どうしても英語の発音を真剣に身に着けたい、そしてその覚悟(時間)があれば、お勧めしたいことがある。それは、
- 毎日時間を取ってネイティブの発音を真似すること。
ぼくは中学1年生のときに「基礎英語」というラジオ番組を一年間、一日も欠かさずに聞いている。これは大きな発音の基礎作りになった。 - 「発音記号」をすべて覚えること。
ぼくは発音記号を覚えているし、英単語をぜんぶ発音記号で書ける。これはそんなに難しくない。
1は必須だと思うが、2はぼくに合ったやり方かもしれない。例えば、米語の「あ」には、数種類あるがそれを全部発音記号で覚えてしまう。発音では日本語(カタカナ)を介在させず、すべて「発音記号」(シンボル)と「音」の対応で覚えてしまう。ちなみに、米国人で発音記号を知っている人はほぼいない。あくまでも外国語として英語を捉える人のための方法。
ところで、英語の発音が「完璧」にできる日本人がある割合でいる。山下達郎、桑田佳祐、竹内まりや、槙原敬之、といった一部の日本人歌手、それに、小林克也、などのDJに多い。自分の口からでる発音をコントロールでき、それを耳で聞きながら調整する、ということをプロとしてやっている人たちだ。彼らは、職業として運動神経としての唇、舌、あごの動きと、そこから出る音をセンスする感覚神経、それらを脳の中でフィードバックをかけて正しい発音を定着させている。「運動神経がよい」という日本語を、英語で"Good hand-eye coordination" (手と目のコーディネーションがよい)というんですが、特に球技なんかではこの感覚神経と運動神経のループがうまく脳を介して回っていることが重要。同様に、発音の運動神経のよさ、は、Good mouth-ear コーディネーションとも言えると思う。
とにかく、よい発音を耳で聞いて口で真似し、近づくように修正し、定着させる。これをひたすらやる必要がある。その際に、目で発音記号のシンボルを見て覚えると、その感覚記憶を再現可能な文字に置き換えることができる。
なお、ぼくの経験では、発音のよさは遺伝ではない。また、「英語は幼稚園から教えないとだめ」というのもうそだ。それから、発音の良い人は、米語だけでなく、ちょっとの練習でブリティッシュの発音もできる人が多いし、フランス語の発音も良い人が多い。要するに、口唇の運動神経と耳感覚のよさ、および、その訓練の時間なのだ。バスケットボールをうまくなる、というのに近い。