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《本》受託開発の極意

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Jutaku 「受託開発の極意~変化はあなたから始まる」

岡島さんの本が出版されました。この本には、ぼくも推薦の言葉を贈らせてもらった。

「・プロフェッショナルな仕事をしたいですか?・楽しく仕事をしたいですか?本書はこの2つの問いに同時にYesと答えるための本です。それには、受託開発現場の考え方を変えること、やり方を変えること、そのすべてに先立ってあなた自身が変わること。本書の読者が、お客さまから「あなたがいてくれたから成功できた」、後輩から、「先輩と仕事ができてよかった」と言ってもらえる、そんな現場が日本に増えることを願います。」

中身は本当に強くしっかりと、みずみずしく生々しく、思いと教訓からの学びがかかれていて、僕自身も読んでいて胸が熱くなった。要件ヒアリングのこつ、見積もり、丸投げされても前進する、運用が最上流、お客さまとの信頼関係も保守する、ナレッジとマインドの伝承、チーム優先、組織を変える難しさ、、、、、、細部にもメッセージが宿っている。彼の言葉を借りれば、本書の中に「練りこまれて」いるのだ。付録には、プロジェクトファシリテーションのプラクティスである、朝会、タスクかんばん、ふりかえり、の記述もある。

本書を読みながら、岡島さんとの出会いや、彼の今の永和システムマネジメント社内での立ち位置、一緒に過ごした時間などに思いをはせた。本書のバックグラウンドとしての岡島さん、そして永和システムマネジメントについて書いてみたい。

岡島さんは、ぼくより入社が早い。ぼくが1995年に転職して福井に戻って永和システムマネジメントに入社したとき、彼は新卒入社二年目くらいじゃなかったか。入社したぼくの、デスクトップマシンを注文してくれたのが彼だった。彼とは最初の部署は別であり、一緒に仕事をする機会をもったのはずっと後になる。ただ、横で彼の(若い時の)仕事ぶりを見ていると、かなり大胆な行動で目立っていた。彼の仕事のやり方に一目を置く上司と、逆に眉をひそめる上司と、両方いたと思う。逆に、後輩からは好かれる魅力のようなものを一目で感じた。後でだんだんわかってきたのだが、彼はタイプで言うと青レンジャーなのだが、その中には、ガキ大将っぽい少年性と、慎重で臆病な繊細性、その2つがおもしろい混じり方をしている。

彼とは、思い出深いプロジェクトを1つ共有している。今回の本の書きぶりを見るとぼくには分かるのだが、ある主張を伝えるのに、箇条書きで3-5つの項目を提示したり、「KIML4O」のような概念を構築したり、MECEに視点を切ったり、とコンサルばりのロジカルシンキングをしているにもかかわらず、内容には、「思い」や「ハート」がぎゅっと詰まっている。しっかりした枠の中に、みずみずしく、不恰好な、生ものが入っているのだ。この貫禄は、あのプロジェクトで学んだことが含まれているに違いない、言葉の力、人間力を感じさせる。そのプロジェクトでは、とても知力と体力を使ったし、泣きたくなるくらい(実際泣いた)困惑したり凹んだりした。ある夜、次の提出物がどうしても満足いくものができず、プロジェクトのコントロールに途方にくれ、深夜、4人で会社のフロアに直に座り、腹をくくって考えたのを思い出す。会議に参加するのは、さらしをまいて「出入り」に行くような度胸が必要だったのだ。さらに、長い長い議論の結果、土曜日に社長を会社に呼び出して、プロジェクトを中断させてくれないかと懇願した記憶もある。こういう、仕事というよりも、「人生の一部」としての経験が、この本の奥にはあると思う。

また、本書への謝辞を読むと、その中には彼が所属する事業部の事業部長、宮下さんの名前を発見する。これも興味深いので話をしておく。彼と事業部長(タイプでいうと赤レンジャー)は、同期なのだ。永和の中ではおもしろいキャリア関係になっており、彼が「技術ならまかせろ」なら、事業部長は「管理ならまかせろ」というまったく別のタイプ。キャリアパス上も、管理系と技術系に分かれている。その二人が、ともに新入社員時代から別の部署にいながら意識しあったライバルであり、そして今同じ事業部にいる。このことは、永和がいま成長している現場パワーの1つだと思っている。互いに理解しあい、認めあっているから、相補関係が強い。ぶつかるときも、信頼を持ってぶつかり合える。

そして、ここ5年で起きているもう1つの流れが、永和の東京支社だ。前述の事業部の活動の中心。ここには、もともと福井の永和ではない東京採用の人たちがいる。名が知られているのは角谷さん、天野さんが筆頭だが、謝辞に登場する伊藤浩一さん、木下さん(fkino)、近藤さん、斎藤さん、森田さん他、OO厨、Ruby厨、スクリプト言語厨が多くいる。ある時期の永和には、なぜかこの特殊な色を持った人材が中途採用で集まった。自主的に休みの日に会社や自分たちの未来を話し合う合宿をするなんて、このサイズの会社にはそうそうないのじゃないだろうか。こういった人材では、日本で他の会社に負けることがない。この中に、「福井代表」のごとく、岡島さんが交じり合い、お互いを認め合ってる。そういう意味では、岡島さんは永和の技術面、文化面のアクティブブリッジなんだ。さらに、技術の融合だけでなく、管理の融合もある。謝辞の中にある中村さんは、コンサルティング会社の出身で、現在は事業部長を補佐する立場にある。彼が持ち込んだ見積もり技術、顧客接点のとり方はとても学ぶものが多く、これも現在の永和を支えている中核の1つになっているし、岡島さんもそこから学んでいる。

さらに、岡島さんとぼくはよく出張の宿を一緒にしていた。蒲田のオークイン3というビジネスホテルなのだが、その近くのバーで、仕事、人生、未来、目的、などといった話題で深夜まで飲んだことも思い出す。二人のお気に入りの話題は、哲学だった。彼は文系、そういえば角谷さんも文系で、哲学科出身じゃなかったか。。。。

と言うわけで、この本の舞台裏を書いてみた。こんな「いま」の永和システムマネジメントに、僕自身も参加しており、彼らと多くの会話ができることをとても誇りに思う。みんな頑張ってるな、ぼくも頑張るよ。特に今はチェンジビジョンを。

ここで、1つすごいお知らせです。岡島さん、角谷さん、天野さん、が、本書の出版を記念して、ジュンク堂にて、サイン会、トークセッションを行います。

ジュンク堂トークセッション
5月1日(木)19時~
岡島幸男(マネージャ)×角谷信太郎(プログラマ)×天野勝(コンサルタント)
「受託開発とエンジニアの幸せ」

http://www.junkudo.co.jp/newevent/talk-ikebukuro.html

ぜひ、ご参加して、応援してください。

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