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ソフトウェア開発とフロントローディング

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ハードウェア開発のフロントローディング、とソフトウェア開発におけるそれの平行概念を考察しています。
http://d.hatena.ne.jp/sakataakinori/20080129/1201620434

TPSのソフトウェア開発への現場適応を実践している坂田さんは、この概念をソフトウェアに持ち込むことについて、慎重に議論しています。

製造と設計が分離されたハードウェアにおいて、

製造時に発生するコストがライフサイクルコストを支配する製造時に発生するコストドライバは設計段階においてつくり込まれる。 フロントローディングとは、この原理に基づく考え方、源流管理の実現によって発生する負荷の前倒し現象です。また、この現象が原価企画の取組みによって制御可能性が高まるために、手法として取り扱われることが多い。というのが、本質だと考えています。

一方

ソフトウェアは、開発と製造が同時一体として進行する。
ハードウェアに較べて変更のコストが圧倒的に低い。
ホンモノでテストできる。

という原理があります。

この原理の差を越えて、ハードウェアから「設計/コード/テスト」といった従来型開発工程に基づいたソフトウェア開発へと持ち込むことに大いなる疑問がある。ということなのです。

寺田さんも、これに対して同意をコメントし、「ソフトウェア開発におけるフロントローディングって何だろう」というエントリを書いています。
http://d.hatena.ne.jp/u_1roh/20080127/1201445133/

寺田さんは機械系3次元CADの開発をされているので、製造業の概念と、ソフトウェア開発の概念の両方に接している。そこでやはり違和感を感じる。

一方、要求開発においても、この「フロントローディング」という概念をうまく使えないか、早めに仕様に具体性を持たせることで、後工程で起こる不整合(技術的のみでなく、ステークホルダ合意も含めて)を減らせないか、と萩本さん、細川さんらが考えています。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20070130/260046/

ソフトウェアのソフトウェアらしい特性をうまくつかって、新しいフロントローディングの概念をソフトウェア開発に持ち込む必要があるのでしょうね。

ここに登場している、坂田さん、寺田さん、萩本さん、細川さん、ともにとても親しくしていただいている友人であるし、オブジェクト倶楽部に来ていただいたことがある方。うまくコミュニケーションパスを繋ぐ任務がぼくにあるような気がして、このエントリを書きました。

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