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ETロボコン2007のワークショップ -- 知の参加・交配・持ち帰り

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本選が終わると、翌日は「ワークショップ」です。午前中は優秀モデルの解説、審査員からの総評があり、午後のワークショップは、

  • テーマ別ミニワークショップ
  • モデル解説ツアー
  • モデリング相談所

の3つのスレッドに別れて、チームメンバーがばらばらに参加します。このワークショップの目的は、「参加者同士の意見交換」が大きいものです。審査員からの一方的なコメントではなく、逆方向の意見もあり、また、まだ参加者も審査員も発見していない、未知の暗黙知を探検して、新しい気づきを獲得することも大きな目的です。

Mindmap私は、「マインドマップの設計への活用」というテーマのミニワークショップ(20名)を担当しましたが、みなさんのアクティブな発言で、私自身も新たな気づきを得ました。今年、Ryomo Wins, 鳳, AEK RUNNER2007 の3チームがマインドマップをモデリングに生かしていたのですが、ワークショップ中に、少なくとも他に2チーム、マインドマップを設計中に活用したことがわかった。ワークショップでは、マインドマップの用途、特徴をまとめたあとで、設計への利用、そして、弱点、をみんなで探検しました。ここで共有された気づきは、かならず今後の設計へのフィードフォワードとなるでしょう。写真は、このワークショップで作成されたマインドマップです。(全体発表を、ADoniSの鈴木さんにしていただきました、ありがとうございました。)

形式化されたものだけが「知」ではない、それを見ながら自分たちの苦労したことを、話あって、まだ暗黙のままこの場に存在している知を「取り上げる」活動が、このワークショップだと
思う。あいまいなまま、徐々に形成されていく「知」を、この半日でなんとか全員の頭の中で沸き起こらせたい。

さて、こういった活動を行ったことで私の中に表出してきたこと。「ETロボコン」という活動をナレジマネジメントの視点から、分析してみたいと思います。知の参加・交配・持ち帰りモデルという業界の底上げ活動、すなわち、教育に有効だ、ということがいいたいことです。

Seci_2各チームは、チームごとに発見した知見を内部に蓄積しています。先輩社員や学生がノウハウを伝授することで、前年よりよいモデルを作ります。さらに、その良いモデルが年に一度、一所に集まって競い、情報交換することで、大会としてのナレッジが蓄積されます。大会の翌日に開催されるワークショップでは、「形式知」として掲示された各チームのモデルを再度、みんなで議論することで、知の「連結化」を経て再度「暗黙知」を作り、それを来年の参加への種とするのです。ちょうど、野中郁次郎のSECIモデルに対応するように、「表出化」⇒「連結化」を行い、それを、「内面化」⇒「共同化」していくような知のループを、この大会と各チームは回していきます。各チームは、「参加」し、議論し、そこで「持ち帰る」。一年後また「参加」し、議論して「持ち帰る」。ここに、「知の交配」が起こってモデルが全体として進化していくことになるのです。

このように、参加・交配・持ち帰り型の、業界全体のナレッジの蓄積・成長の場として、ETロゴコンを捉えることができるのではないでしょうか。その例題(分析対象問題領域としてのLEGOブロックの走行体のソフトウェア)は、現実の組込み機器からすると小さなものですが、業界を渡って1つのモデルが6年間分析対象となっているというのは、教育目的を考えると、すばらしいことだと思うのです。下の絵は、これを図式化したものです。チームの渦と、大会の渦、それぞれがナレッジを蓄積しながら成長していくイメージです。各チームの参戦記を読むだけでも、参戦記を読むと、この問題に対する各チームの取り組み方が見えて、ますますおもしろくなります。

Photo参戦記のページ
http://www.etrobo.jp/participation.html

※7/18 追記
同様の感慨をもった方がいらっしゃる。
http://ameblo.jp/kussy/entry-10040198713.html

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