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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

EbookExpo2013を終えて何が見えてきたか

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今年も暑い夏がやってきた。それにしてもちょっと早すぎる。例年のEbookEXPO2013が7月3,4,5日で行われたが先週まではそれほどの暑さではなかったのが救いだ。アイドックは昨年に続いて不参加だが、世の中を知るためにまたEXPOでしか会えない人と会うために出かけた。多くの人のコメントで私も同感なのは、昨年2012年がピークで出展社の顔ぶれや出展内容も少し新鮮味や活気にかける感じがしたということだ。いわゆる大手は大日本印刷、凸版印刷の2大印刷会社の他はアドビがかろうじて大きなブースを構えていたくらいで、後は小ぶりの出展だった。うわさではブースも少し空きがあったらしい。出展社が中小でもブースが小さくてもいいのだが、その内容が新しいと思われるものを探すのが難しかった。大日本も凸版もそれぞれ小さなコマが多数ありいろいろな技術やサービスの展示を行なっていたが、それぞれこれといって際立ったものはなかった。アマゾン、アップル、グーグルといったところを含めて予測された顔ぶれが揃った段階で、さて次はどうしたものかといった感じだろうか?

リッチコンテンツの制作ツールやサービスの新しいものや書店サービスなども出てきたがどれも代わり映えはしない。むしろ昨年までのお祭り騒ぎから実質的なビジネスの展開のフェーズに入ったと言えばもっともらしいが、実際はどうなのだろうか?会場で文化通信社がいつものようにブックフェア特集号を配っていて、その中で「出版社電子書籍化調査」と題して出版社にアンケートをとったものをまとめているのが地味であるがもっとも業界を反映していてよかった。

一部抜粋すると、75%の出版社が何らかの電子書籍を発行しているが、売上比率は0.55%にとどまっている。新刊の電子化は38%で既刊の電子化率77%を大きく下回っている。ボーンデジタルと呼ばれる初めから電子で発行するというものは22%であった。70%の出版社は50点以下の電子化で少数の大手出版社で多数の電子化がされている。電子化する理由は新たな収入を得る媒体としてという答が主流。電子書籍の問題点としては制作費の負担が大きいのと売れないということで結果として採算が合わないという現状を示している。まったく同じ理由で、既刊を電子化しない理由も新刊を電子化しない理由にもなっている。新刊の場合は紙の売上が落ちるという心配もある。実際のビジネスでは出版社の取り分は50%が最多で40−60%の間となっている。電子書籍のフォーマットはEPUBが77社とPDFが66社で拮抗している。PDFが以外に多いことが判明した。著者との関係では売上印税を採用しているのが63%で印税率は10%が最多であった。DRMについてはほとんどに回答が使っているまたは必要だとしている。DRMフリーについてはほとんど認知されていない。制作面ではコスト負担が一番の問題とされている。流通方法は電子取次または電子書店との契約が多いが直販しているという出版社もけっこう多い。

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