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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

アップルのiTunes Match、これって自炊洗浄(リップローンダリング)?

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昨日のWWDCでアップルが待望のiTunes Matchを発表した。なによりもSteve Jobsが元気そうなのが一番嬉しかったが、iCloudとiTunes Matchも多くのユーザーから期待されていたサービスで、アップルのサービスとしても大きな進化だろう。

iTunes Matchでは私的にリッピング(自炊)された曲がクラウドサービスによって正規で高音質のデジタルコンテンツとしてクラウド上に保存管理することができて、10台までの端末で聞くことができる。これってなんだか、黒とは言わないが灰色のCDからリップされたデジタルファイルをアップルが洗浄してくれるサービスのように思えてしまう。洗浄というとMoney Launderingが有名だが、最近は学歴洗浄というのもあるらしい、あまり有名で無い大学を出た人が有名大学の修士や博士を取ることで自分の学歴をよく見せるという効果があるらしい。ユーザーがCDからリップしてiTunes MatchでiCloudに登録すると、アップルにとっては巨大なiTunesユーザーを短期間に得ることになる。もちろん$24.99で20000曲まで登録できるので、一曲あたりのユーザーにとってのコストは限りなくゼロに近いが、結果としてアップルの音楽クラウドサービスが市場を寡占することになる。

噂された音楽クラウドサービスはiTunes MatchというiCloudとは別の名前のサービスとして発表された。サービス開始は今年の秋ということだが、日本でもサービスを提供してくれるのか疑問が残る。特に、ユーザーのCDなどからリップされた音楽ファイルをアップロードするのではなく、ユーザーのiTunesライブラリをスキャンして、iTunesで販売している楽曲とマッチした楽曲は10台までのiOSデバイスにダウンロードできる。噂されていたようなストリーミングによるサービスは提供されない。どちらかというとMusic Storage Serviceということだ。β版は米国ではすでに始まっている。ローカルのiTunesにあるCDからリップされた曲はネット上の曲とMatchするとアップロードされることなくネット上のDRMフリー、256KBPSのAACファイルに置き換えられる。SteveはKeynoteではAmazonやGoogleのサービスとの違いを比較表で強調している。

音楽クラウドで先行するAmazon、Googleのサービスとは異なり、ファイルをアップロードする手間が省け、すぐに利用できるメリットがあるという。年間24.99ドルの有料となる。米国の音楽レーベルはどういう判断でこのサービスを許可したのだろうか?日本の音楽レーベルはどう反応するのだろうか?アップルはユーザーから得た$24.99を音楽レーベルに配分するのだろうか?しばらく音楽ビジネスから目が離せない。

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