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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

SONYがAndoroidなどへのReaderアプリケーションを提供する。いったいSonyはなんの夢を見ているのだろうか?Apple?Amazon?

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SonyがSony Reader Storeで買った本をAndroidやiPhone/iPadでも読めるようなソフトウェアを提供すると言っている。実際にPCやAndroidのものはすでにダウンロード可能だ。Sonyの戦略が見えない。AppleでもないAmazonでも無いビジネスモデルを目指しているのだろうか?

Appleは完全な垂直統合型ビジネスを突き進んでいる。iBook Storeで買った本はIOS端末でのみ閲覧できる。MacやWindowsでさえ読むことができない。完全にIOS端末を対象にしたコンテンツ販売だ。AppleのiTunes Storeの場合も基本はiPodでの視聴を前提としたコンテンツ販売だ。Amazonも垂直統合型だ。ただしAmazonの場合はKindle端末以外の端末でも読むことができる、なぜならば、Amazonのビジネスはコンテンツだから。Kindleはそのきっかけにすぎない。Kindle Reader for xxxxxというアプリケーションを出すことでマルチプラットフォームを実現している。

SonyはあきらかにAppleと同じビジネスモデルの筈だ(と思っていた)が、どうも違うようだ。Sony Readerという端末を売ることがビジネスではなく、電子書籍コンテンツを売ることが目的なのか。Sonyはグループとしては電子機器以外に映画や音楽コンテンツをビジネスにしているが、同じように電子書籍をビジネスのコアにしようとしているのか。うーん、ちょっと違うような気がする。

映画や音楽と違って書籍や雑誌などの出版ビジネスにとって電子媒体というのはまだ生まれたばかりの分野であって、それのみで存在するのは非常に困難だ。Sony Reader Storeで売られている本はAmazonで売られているものに対してなんの差別化もされていないし、コンテンツ数では完全に負けている。当然だろう。Amazonは1994年にビジネスを初めて以来、徹底的に本というコンテンツを売ることにフォーカスしてきた会社だ。その後あらゆる商品を加えて今では世界最大の小売業になっている。

Sonyが映画や音楽ビジネスをやっていると言ってもそれはStudioやLabelといった立場であって、コンテンツの小売に特化したビジネスではない。Sony本体の家電ビジネスとは基本的に何のシナジーも無いビジネスだ。SonyにはPlay Stationがあるが、これはAppleに近い垂直統合型と言える。SonyがAmazon型の電子書籍コンテンツビジネスを志向しているとするとそれは大きな間違いだろう。

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