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日米におけるデジタル経営の実態と今後の課題

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デジタル技術の進化は、企業経営において否応なしに大きな影響を与えています。しかし、その取り組みにおいて、米国企業と日本企業との間には大きなギャップが存在しています。一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)とIDC Japan 株式会社は2024年3月6日、共同で実施した「日米デジタル経営調査」の結果が発表され、このギャップの実態が明らかになりました。

調査結果によると、デジタル経営の実践段階にある米国企業の割合が50%を超えているのに対し、日本企業では25%程度にとどまっています。この結果は、デジタル技術を経営に活かすことの重要性を理解し、実践している米国企業が多い一方で、日本企業はその取り組みが遅れていることを示しています。

日本企業におけるデジタル戦略は、主に「効率化」を目的としており、長期的な視点でデジタル戦略と経営戦略が一体化している例はまだ少ないです。しかし、一体化している企業では、「攻め」のデータドリブン経営による成長を指向しており、成功のヒントを提供しています。

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出典:JEITA 日米デジタル経営調査 2024.3.6

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出典:JEITA 日米デジタル経営調査 2024.3.6

また、デジタル人材の育成についても、日本は既存従業員の再教育に依存する傾向にあり、外部からの採用や買収を活用する米国とは異なります。この違いは、デジタルテクノロジーの適用領域にも影響を及ぼしており、日本企業では「プロセス」のデジタル化が中心で、データを利用した経営はまだ始まったばかりといえます。

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出典:JEITA 日米デジタル経営調査 2024.3.6

さらに、デジタル経営を進める上で組織文化の変革が欠かせないという認識が日本企業では少ないことも課題の一つです。デジタル戦略と経営戦略が一体化している企業では、外部起点の思考や多様性の受容、権限移譲など変革の傾向が見られます。

この調査結果から、日本企業がデジタル経営を進める上での具体的な提言が示されました。「デジタル経営」の意識を強化し、幅広い業務プロセスで多くのテクノロジーを試すこと、社内外の適切な人材を確保するための仕組みを整えること、そして「米国企業だからできる」という考え方を捨て、変革に必要な経営層とミドルマネジメントの協力を促すことが求められています。

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出典:JEITA 日米デジタル経営調査 2024.3.6

日本企業がデジタル経営を加速させるためには、これらの提言を真摯に受け止め、具体的な行動に移すことが急務です。デジタル技術の活用は、競争に勝つため、従業員のやりがいを高めるための手段であり、そのためには戦略、人材、投資、組織文化、CSRすべてにデジタルを内在させる必要があります。日本企業が世界との競争に勝つためには、デジタル経営の実践が鍵を握っています。

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出典:JEITA 日米デジタル経営調査 2024.3.6

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