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ヘルスケアスタートアップエコシステムの現状と課題、強化に向けて

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経済産業省は2024年2月20日、「第20回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会」を開催しました。

本部会で議論となっているヘルスケアスタートアップエコシステムは、医療技術の革新やサービスの向上を目指す重要な領域です。しかし、その発展には多くの課題が伴います。この記事では、特に日本と海外のヘルスケアスタートアップエコシステムの現状と課題、そして強化に向けた取り組みについて解説します。

海外と日本におけるヘルスケアスタートアップエコシステムの現状

海外、特に米国や欧州などでは、ヘルスケア分野のスタートアップが活発に活動しており、多額の資金調達や革新的なサービスの実用化が進んでいます。これに対し、日本のヘルスケアスタートアップエコシステムは、企業数や資金調達額が大幅に劣後している状況です。

日本のスタートアップエコシステムは、資金調達や人材、知見(知財)の充実においては国際的にも評価が高いものの、コミュニティやインフラの整備に課題があります。ヘルスケア分野では、特に医療機関や事業者との連携、エビデンスの構築、規制や制度への対応が重要ですが、これらを支援する包括的なコミュニティの形成が求められています。

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出典:経済産業省 第20回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2024.2.20

ヘルスケア分野におけるスタートアップの課題

ヘルスケアスタートアップは、エビデンス構築やデータ収集の困難さ、支援人材や実証フィールドの不足、そして独自の規制・認可体系への対応など、さまざまな課題に直面しています。これらの課題は、サービスの開発や実装の段階で顕著になり、医療・介護分野特有の複雑な制度や商慣行に対する深い理解と専門性が求められます。

さらに、国内だけでなく海外展開を目指す際には、現地の薬事承認プロセスへの対応や、国内でのエビデンスを海外で流用することの難しさなど、新たなハードルが存在します。

ヘルスケアスタートアップエコシステムの強化に向けて

ヘルスケアスタートアップの育成とエコシステムの強化に向けて、日本では国内のエコシステム強化と海外展開を一体として支援する事業が展開されています。これには、地域単位でのヘルスケアに特化した拠点の選定や、海外のアクセラレーターとの連携、グローバルカンファレンスの開催などが含まれます。これらの取り組みを通じて、ヘルスケアスタートアップの国内外での活動を支援し、革新的なサービスの創出と実装を目指しています。

特に、地域拠点育成事業や海外派遣事業、グローバルカンファレンス事業は、スタートアップの成長を促すとともに、医療関係者や自治体との連携強化、海外市場への展開など、エコシステム全体の発展に寄与することが期待されています。

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出典:経済産業省 第20回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2024.2.20

ヘルスケアスタートアップエコシステムの強化は、医療技術の進歩や患者さんへのサービス向上だけでなく、国の経済成長にも寄与する重要な取り組みです。これらの課題に対する理解と支援が、今後の発展に向けて不可欠となります。

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