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規制緩和で供給オーバーの中、サービス革新するフタバタクシー

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1980年代、イギリスのサッチャー元首相、アメリカのレーガン元大統領、日本の中曽根元総理が進めたのが規制緩和である。小さな政府~ミニマムガバメントコントロールを合言葉に多くの規制が緩和された。規制緩和といえば、昭和の日本の規制緩和に食管法から始まって、特石法、通信、航空、鉄道、金融・・といった業種の規制緩和が進んだ。

平成の規制緩和と言えば、何といっても、小泉純一郎元総理がプレーンと言われた竹中平蔵氏と一緒に進めたことは、記憶に新しい。

小泉改革での規制緩和で、私たち消費者が、比較的身近に感じたのは、タクシー業界ではないだろうか?

2002年(平成14年)にタクシーの数量規制が廃止され、それまでの諸条件は以下のように大幅に緩和された。

  1. 認可制から → 事前届出制
  2. 最低保持台数の緩和/60台 → 10台に
  3. 営業所および車庫/所有から → リースに
  4. 導入車両/新車から → 中古車で可に

結果、タクシーの台数は、平成21年自主減社が始まるまで増え続けた。

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以上、東京乗用旅客自動車協会ホームページより引用

全国ベースの全国タクシー・ハイヤー協会の発表では、都市部に比べて車両台数増は緩やかで平成19年がピークであり、減る傾向があるものの、台数が増えていったことには変わりない。

主要都市の駅前に100台以上のタクシーが常に待機しているのは、当たり前である。45~90分待機をすると、乗ったタクシーの運転手さんが言っていたが、あながちウソではないだろう。その上で、650円~ワンメーターとなったら、さすがに、無口になる気持ちもわからないではない。前述のデータ通り、平成14年の規制緩和でタクシー会社が大幅に増加し、一方、営業推移をみると、ヨコバイであれば、当然、1社当たり一台当たりの売上は減少し苦しくなるのは当然である。高齢化社会となれば、将来的には成長性も見込めるが、現時点では、マーケットはヨコバイのままだ。一日のタクシー一台当たりの売上は、約30%ダウンの大幅に減少である。

そして、多くのタクシー会社は歩合給を採用しており、歩合率は50%。つまり、半分が給料で、最低賃金を割れている状況にあるタクシー会社もある。実際、厚生労働省の調査でも全産業の平均年収は約550万円に対して約326万円と130万円も低い。

そうした厳しい環境下においても、新しいサービスを次々と生み出して社会的な価値を提供し頑張っているタクシー会社が仙台にある。フタバタクシーである。昨年11月の初旬、坂本光司先生らと仙台フタバタクシーに訪問し、及川社長のお話をお伺いした。

1時間以上に渡り、多岐にわたり御説明いただき、また、雨の中、実際の車両などもみせていただいたが、その中で、提供しているサービスに焦点を当てて紹介したい。

1.子育てタクシーの導入【チャイルドシート】

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時代のニーズを先取りするチャイルドシートタクシーであるが、なんと東京で一社しかないのは、人口から考えても、あまりに不自然だ。

2.学童の送迎キッズベース(塾の送迎、学童を送迎する)

月額定額料金での送り迎えを行っている。これも、流しのタクシーと異なり、日々安定売上が見込め、且つ、お客様のニーズに応えている。

3.障がい者施設の送迎補助                                       4.発達障がい者の学校への送迎
5.ショートステイ施設
6.温泉施設への車いすでの送迎
7.夜間訪問介護の実施                                        8.イベント事業への参加

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また、フタバタクシーの66名のドライバーのうち62名が2級ヘルパーの資格を持って、介護が必要なお年寄りや、障がいをお持ちの方への対応もしているのである。

次々と新しいサービス創出を行い、リーズナブルな価格で提供し、一般タクシー売上が伸び悩む中、福祉分野の売上高が年々上昇しており、タクシーの割合は半分に達している。

一番、ビックリしたのが、一人の発達障がいを持つ子供のために、1台特別車をつくり対応していたことである。採算を考えれば、とても間尺に合わないことは明白であるが、フタバタクシーの企業姿勢を表す象徴的な取り組みだと思う。

ところが、一つだけ及川社長が感じることがあると言う。以前は、本当にお客さまから感謝されたそうだ。しかし、感謝のされ度合いが年々変わってきているという。以前は、例えば、足の不自由な高齢者を車へ移動する際、家族も一緒になって手伝っていただいたそうだが、「最近は、手伝っていただける人が少なくなってさびしい。もちろん、介護には専門知識が必要な面もあるからかもしれない」と言われたことには考えさせられた。

昨年は、一人暮らしの老人が増え、また、死亡届が出されないで、100歳以上まで生存しているといったニュースが流れた。また、オーバーストアーと言われるくらい出店され、大型店化し、中小小売店がつぶれていったり、採算に合わない店舗が撤退したために、結果として、買い物ができない老人が増え「買い物難民」と言われている。しかし、こうした厳しいとも思える環境下において、買い物難民を救い、且つ、ビジネスとしても成り立たせるサービス開発に私の友人も取り組んでいるが、フタバタクシーの取組みは、まさに、社会のニーズをとらえ、且つ、ビジネスとしても成り立たせている成功例として、今後も発展してほしいと思う。

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