活き活きした個人、活性化したチーム、成長し続ける組織、卓越したリーダーシップ・・・を実現する考え方

創業以来約40年間平均40%近い経常利益率を誇るエーワン精密

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少し前に、カンブリア宮殿で紹介されたので、見られた方も多いと思うが、現時点で、創業から40年近く平均経常利益率が40%弱といった驚異的な業績を残している企業がある。山梨県のエーワン精密だ。過去経常利益率50%を出したこともあり、さすがに、リーマンショックのときは、売上35%ダウンしたそうだが、それでも22%の経常利益は出していたというから驚かされる。

一度、直接、お話がお伺いしたいと思っていたが、中小製造業の経営革新の第一人者である電機通信大の竹内先生からのお声掛けで、お話をお聞きすることができた。

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梅原創業経営者のお話は、中小企業における経営についての本質が詰まっており、勉強させられた。以下、私なりに、エーワン精密の経営の特徴を8点に整理してみた。

1.時代を読み、あいまいな中で先手先手の決断と実行
梅原創業経営者は、一年毎に次の親戚の家を預けられるといった子供時代で、中学に上がるときに丁稚小僧に出た苦労人である。10の工場を渡り歩き、職人としての腕が磨き、その過程で生産管理を勉強をする。しかし、「旋盤、小型自動盤こんな機械が出てきたら・・」と、1961年の当時に思い、「このままでは、職人ではダメになる。機械の時代だな~」である。そのため、「自分の給料を下げてもいいから、自動盤をやらせてくれ!」と当時の勤めていた会社の社長に懇願したという。

そして、自動盤を取り扱うようになると、機械メーカーが、当時供給していた技術屋が設計したものは、使いづらく値段が高いと感じたそうだ。そこで、「いいものを、安く早く売ればいい」と思ったという。「CAMの供給元として独立すると、脇の甘い機械メーカーに勝てる」と思い立ち、直ぐに1965年会社実兄とともに設立した。次に、CAMの次はNCだと感じると、当時、500万で住宅が経つ時代に2000万した機械を入れる過程で、実兄と意見が合わず一緒に経営していた会社を出て独立する。さらに、時代とともに、コレットチャックにシフトしていくことになる。まさに、先手先手の決断・実行だ!

梅原創業経営者は、
「何か大きなものに取り組むとき、準備が整ってからなんていうと、まず、うまくいかない。やれることを先にやる!」ことが重要だとおっしゃる。        

また、新事業に進出するときの留意点は3つあり、
1. 世の中に必要であるかどうか?
2. やりようによって利益が出せるか?
3. 万に一つでも業界のトップになれる可能性があるか?

そして、新事業へのタイミングとしては、今行っている事業が好調なときだと言われる。その理由は、リスクマネジメントの観点からであり、社員とその家族を守るといったことが経営者としての義務であると考えているからである。「経営者が失敗して、裸になるのは自分の責任でやるので仕方が無いが、社員とその家族を路頭に迷わすようなことはできない。簡単にリストラをやるような経営者は、軽蔑すると言われ、社員が何人かいたら一か八かはダメ!」だと一刀両断だ。耳の痛い経営者も多いのだはないか。

一方、数年毎に繰り返される好況不況時の対応については、不況期の方に積極的に打って出ている。理由は、「好況のときは自分達の会社も忙しいので、他社との差別化は図れない。また、不況期の方が、設備の更新などは、今のオーバーホールや設備投資も安く済む。実際、現在、新工場を建てているが、これも不況の時だから投資している。人の確保においても、優秀な人材を採用しやすい。逆に、景気が良く忙しいときは、優秀な人材は大手に持っていかれて」とおっしゃる。

当然、不況なときに投資ができるのは、好況のときに蓄えを持っているからであり、エーワン精密は、好況のときもコストダウンの努力をつづけている。そして、好況と不況の凝り返しを読み、経営者が先まわりして手を打っているのである。

2.価格競争はしない。顧客価値競争をする。

「不況のときは、仕事量の確保よりも価格を守れ!」と言われているそうだ。なぜなら、価格を下げると上げることはできないからだという。                                  「いい品物は、安く、早く!と言われてるが、いい品物は当たり前であるが、安易に、値下げをすることはよくない。多くの会社は、安い価格に偏りすぎているが、エーワン精密は、値下げをしたことがない。その代わり、お客様のニーズである“早く”を実現し、他社が7日掛かるところを1日で納入している。つまり、同等の品物であっても、短納期といった顧客価値に力を入れているのである。直ぐ入れてくれる会社と、7日掛かる会社では、お客様からすれば、機械がとまると損失も出るために、直ぐに入れる会社の方が顧客価値が高い

そのために、「人と設備はやや余裕を持って、お客様の無理をきける体制にしている」とのことだ。いい在庫と悪い在庫があり、次も出るといったものは、ある程度持っていないとだめという。「在庫は、作りすぎはダメだが、しっかりと在庫管理をすれば実現できる。カンブリア宮殿に間違ったことがでてしまったが、今の時代、何もIT機器を使っていないとなっていたが、あれは違う。私は、パソコンなどを信じていないので、オフコンを使っているだけだ」とのことだ。

3.役職や部門に拘らず、お客様に合わせて柔軟な組織体制にする

「納期管理とか、お客様が言いなりにやってやりなさい」と普段から言われているそうだ。又、エーワン精密には、社員を管理する管理要員(いわゆる管理監督者)はいない。図面も作成設計する人も置かず現場のの社員が行っている。、そして、課長も係長といった管理する人がいない中、全員で納期に向けて取り掛かる。

4.徹底的にコストを抑えている。

無駄な社員や役員を置かないといった方針である。また、間接部門は上場企業では珍しい2人で運営されている。それも、パートの女性だけというから驚かされる。事務量が多いが開示書類から、3ヵ月に1度の株主への報告、給料計算も2人がやっている。製造原価に入らない人が2人しかいないことが、利益率が高い要因の一つだ。

また、顧客価値で勝負しているので、営業を置いていないのも、圧倒的に低い販売管理費を実現している理由である。さらに、「普段から5%下げよう!」と努力しており、機械一人4台を担当いるのを1人5台にしてもらうなどの手を打っている。

5.従業員を大切にし、モチベーションを高めている。
                                                       夏の賞与を従業員に平均で400万出したこともあるそうだ。その頃から今に至るまで、利益が出たら、従業員に還元している。当然、同業よりも平均給与は高い

実現している短納期は、社員が自分達の会社といった意識が強いのでやれるという。3年位前、トヨタが見せろ!を言ってきて工場を見て回ったが、トヨタからきた次長や資材の人を腕組んで首かしげて帰っていったとのことだ。カメラで写真を撮っても、社員の動機や気持ちを写すことはできないので、社内も工場も外部に全てオープンしていているとのことだが、社員のモチベーションを一番大切にしている

つまり、いくらいい設備をしても作業者が動機付けされないと成果は出ないと考えているのである。結果として、エーワン精密では、今まで、過去家庭の理由でわずか1人しか辞めていないという。

6.経営者がやっていることを見せることで社員は育つ

教育は、先輩の後姿を見て育てることを基本にしている。そして、先輩のいいところを取って悪いことはしないようにと教えている。実際、梅原創業経営者自身「私があの子たちに対して、恥ずかしくない生き方をしてきたと思う。それが、一番の教育だと思っている。」とおっしゃっていた。

7.自ら早目にリタイアし、同族に拘らず後継者に経営を譲る。

梅原創業経営者は、2007年に社長を退いて代表を辞め、ほんのわずかの退職金を手にし、子供でも親族でもない人に経営のバトンタッチをした。理由は、ご自身でも現状打破を打ち出すのに時間が掛かるようになってしまったと感じたという。新しいものを考え、前に進むエネルギーがある若い人の方がいい。衰えてきたら、早目に引く方がいいといった判断である。

また、親族に経営を譲らない理由としては、世襲にすると経営が甘くなる可能性があり、梅原創業経営者自身、子煩悩でなので息子さんに継ぐのは危険だと感じたからだという。確かに、後継者が自分の息子であれば、途中で外に出すのは難しいだろう。「他人に思い切って継がしたのは、子供だったら3人しかいないが、他人だと無尽蔵にいるからだ。たくさんいると、自分の息子より適任が必ずいる。」とおしゃる。

 以上のような考え方により、自分で創った会社ではあるが、公器と考え社員で適任な人間に社長を譲っている。社長は42歳、常務48歳 工場長40代と大幅な若返りだ。

8.経営者は、目に見える仕事と目に見えない仕事をする。

社長、役員だといっても、見える仕事もやる。しかし、経営者の本当の仕事は、頭の中の見えない仕事をやることだとおっしゃる。体と頭が違う動きをしているのが役員だという。

 上記以外にも、たくさんのお話をいただいた。それにしても、実際に実績を残されてきた経営者の話は説得力がある。是非、一度、山梨の工場、府中の本社を訪問したいと思う。

経常利益率35%超を37年続ける 町工場強さの理由
経常利益率35%超を37年続ける 町工場強さの理由 梅原 勝彦

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