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活き活きした個人、活性化したチーム、成長し続ける組織、卓越したリーダーシップ・・・を実現する考え方

葉っぱをビジネスにした株式会社いろどり

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日本ベンチャー学会の勉強会で、株式会社いろどりの横石知二代表のお話をお聞きする機会に恵まれた。カンブリア宮殿でも紹介され話題になって御存知の方も多いと思う。

徳島県の上勝村は、意図してブランディングを行ったわけではないだろうが、結果的に、地域は有名になり、今では、採用を募ると、50名の定員にところに東大、早稲田、慶応、海外の学生が1500名の応募がある程の人気になっている。もちろん、最初からうまくいった訳ではない。もともと地元出身でない横石さんが、何かをやろうとすると、よそ者だと怒られたそうだ。しかし、全国を周り、なんとか地域の活性化を図ろうと考えているうちに、たまたま立ち寄ったお店で、女性が、食べるものよりも飾られているものに感動していたことで閃く。これはいけると直感!!

田舎の環境の違いをもっと活かせがいいんだ!と考え、「山には葉っぱがたくさんある」と強みに目を付ける。葉っぱを料亭に売ることを思いつき、女性ができる舞台、田舎の環境の強みを活かせるものを発見したと、村民に声を掛けてみたところが、「こんなもの売るのは嫌だ!私だってプライドがある。そこらにあるものを売るなんて恥ずかしいし、こんなもの売れるわけがない。タヌキではあるまいし」と言われる。

料亭に交渉に行っても、お客でいった以外は、全く相手にされず、どこから仕入れているのかといった情報収集のために、調理場にもぐりこむ。その際、板前に見つかり包丁を投げられ、足に突き刺さるといったことを乗り越えて、事業化した横石さんの執念は凄い。ITとは無縁の70歳~80歳のおばあちゃんに、根気よく工夫してパソコンを教える。受発注の仕組みを作り、おばあちゃんに、易しく、且つ、楽しんで運営できる上勝町情報ネットワークを構築していく。今では、「パソコンなんて~おら嫌だ!」と言っていたおばあちゃんが、毎日の売上を見るのが楽しみになり、中には、月100万以上売上、年収1000万以上のおばあちゃんも出てきている。昨年の12月は、半身不随のおばあちゃんが、1ヶ月百万数十万円を売ってトップだったそうだ。

しかし、こうした取り組みが成果が上がり注目されるようになったのはつい最近だ。出荷しても売れない日々が続いたこともあり、横石さんは、16年間家庭に一銭もお金を入れていない。いかに、日本で社会起業家となるのにハードルが高いかが想像できる

おばあちゃん、地域ならではの強みに目を付け、実験を繰り返し、おばあちゃんの出番をつくり、評価し自信を持たせる。横石さんの地域活性化についてのキーワードは、“自立化”だ。おばあちゃん一人一人が高齢者としての強みを活かし、自立しなければいくら支援をしても長続きしない。「俺についてこい!」といったリーダーシップではなく、地場の人の個々の力をつけさせることを支援できるプロジューサーが、地方には必要だと考えている。

横石さんは、自分の体験を踏まえ、変化の多い現代には、ビジネスのチャンスがたくさんあるという。コストを考えるのではなく価値を高めることが重要で、横石さんが挙げられたのは、

例えば、ミカンが売れないで農家が困っている。そして、結果的に捨てることも多い。しかし、捨てなければならないミカンを150円で売ることも可能であるという。

アイデア1.会議用のミカン⇒ペットボトルの変わりにミカン一つと何を組み合わせで出す。それを県市町村に働き掛けて会議の定番にしてもらえれば、かなりの数を販売できる。 
アイデア2.新幹線のミカン⇒一つだけ食べたいといった欲求にこたえて何かと組み合わせて150円で出す。

などほど、価値創造をすれば確かにニーズはある。本当に事業化するためには、アイデアだけでなく、多くの努力と取り組みが必要だが、やり方次第だ。

横石さんのお話をお伺いすると、本当に、事業を立ち上げるのは大変だが、やり方次第であることが分かり、勇気が湧いてくる。一方、社会起業家は、流行りや憧れでできるものではないといった厳しさも伝わってくる。

日本を元気にするには、地域を高齢者が元気にならなくてはならない。一人でも多く、社会起業家を目指し、地域の活性化、ブランド化を果たしてほしいを感じるし、自分のその一人になりたいと思う。

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生 そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

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