海外で注目されているブロックチェーン企業の創設者と独占インタビュー

最先端技術が実現する「高級ブランドのセカンドライフ」

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発達する初回販売以降の高級ブランド市場と新たな課題

シャネルやルイ・ヴィトンの高級バッグ、あるいはナイキの限定モデルのスニーカーなど、価値のあるモノは中古でも高値で売買される。最近はメルカリの台頭によって、個人間売買がより一層身近になってきており、中古品市場はどんどん拡大していくことが想定される。それは新たな市場の創出だけでなく、既存の市場への影響も予想され、消費者とメーカーの両方に対して新たな課題を突き付ける。

まず消費者にとって、中古品は価格の安さであったり、現在正規ルートでは売られていない商品が手に入るというメリットがある一方で、どれがホンモノなのかわからないというデメリットがある。最近は商品の画像を読み込んで、AI判定を行うという手法も生まれてきたが、コストと精度のバランスがまだ課題だ。もっというと、数千円の商品ならまだしも、数万円払ってまで買う高級ブランド品が実はニセモノだったという事態は絶対に避けたいため、精度への妥協は許されない。

メーカーとしても、これからの若年層における高級ブランドとのはじめの接点が中古品というケースが増えていく中で、ニセモノ商品を通じたブランドの初体験は、ブランドの価値そのものを落としかねない。だが、大手ブランドであればあるほど、販売チャネルも多様化しているため、販売時の偽造者排除は非常に難しく、中古品チャネルまで統制するのは不可能に近い。逆に製造段階でどうかというと、それこそ不可能であろう。たとえば、仮に中国で自社ブランドのニセモノを生産している工場を特定して差し押さえできたとしても、その後それを聞きつけた他の工場が、そのブランドを模倣すれば儲かると知って、ニセモノ生産を一斉に始めるというのはよく聞く話だ。

C2Cマーケットの発達は、正規ルート以外の販売チャネルを偽造者に提供するため、偽造者からしたらニセモノ商品は売りやすくなる。また、それだけでなく、将来的に中古品市場が拡大していくにつれ、メーカーのマーケッターもマネタイズの方法や消費者と購入後の商品との関係について把握しておく必要性が増すであろう。

高級ブランドの寿命は何十年といったケースも稀ではなく、中古品としても複数回売買されるのに対して、現在メーカーが把握できるのは、自社チャネルを中心とした小売での販売データのみであり、初回の販売以降、中古品として何回売られようが、その実態がまったくわからない。

NFCチップを商品に埋め込みアプリでスキャン

さて、そんな現状の課題を解決してくれるのが、先日SEAL(シール)というブロックチェーン企業だ。共同創設者はオランダ人の兄弟。本社はオランダにあり、NFCとブロックチェーン技術を活用したサービスを提供しているのだが、実はNFCチップの製造では世界最大手のNXP社と密に動いており、オフィスも同社のお膝元だ。

1. Founders Bart and Joris.JPG

左:Bart Verschoor(バート・フェルショール)共同創設者兼CEO
右:Joris Verschoor (ヨリス・フェルショール)共同創設者兼COO / CTO

CEOのバート氏は高IQ団体として知られるMENSA(メンサ)の一員で、元デロイトのコンサルタントだ。ヨリス氏はシリアル・アントレプレナーだが、6歳の頃からプログラミングを行っており、経営だけでなく技術に関しても非常に強い。そんな大手コンサル出身のバート氏と実践を積み重ねてきたヨリス氏の兄弟二人によって設立されたのがシール(SEAL)なのである。

シールは製造工程においてNFCチップを商品内に埋め込むことによって、消費者がアプリで商品をスキャンするだけでホンモノかどうかを確認でき、また商品の所有者として、そのチップ経由でブロックチェーンに自分の所有物として記録することができる。中古品でも、一つひとつの商品がホンモノかどうか簡単に確認できて、万が一なくなっても、誰もが信用してくれる形でそれを自分のものだと証明できる。

以前紹介したワリマイが日用品向けだとしたら、シールは高級ブランドやコレクション向けだ。

さて、そんなサービスを開発したこの兄弟、実は意外な形で日本とブロックチェーンとつながりがあるため、次回からはインタビューを通じてそちらを紹介していく。

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