海外で注目されているブロックチェーン企業の創設者と独占インタビュー

ワリマイ創設者INTERVIEW:なぜブロックチェーンで偽造対策をするのか?

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本日から複数回にわたって、元エリートコンサルの二人とのインタビューを掲載していく。

一人は元マッキンゼー、もう一人は元ベイン。いずれも、コンサル業界では1位2位を争う有名コンサルファームだ。

実は彼らこそ前回紹介したワリマイ社の創設者で、ニセモノ商品から消費者を守るためにエリートキャリアを捨てた二人。今回は、そんな二人がどういう経緯でワリマイの創設に至ったのか、また会社のビジョンについて紹介する。

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右:Alexander Busarov氏(アレックス氏) / 共同創設者 兼 CEO
左:Yaroslav Belinskiy氏(ヤロスラブ氏) / 共同創設者 兼 BDディレクター

Q:二人のキャリアについて教えてください。

ヤロスラブ氏:「おそらく高校時代までさかのぼることになりますね。実は私は1年だけ、日本の豊田市の高校に通っていたことがあるのです。そのときに中国ではありますが、三国志と漢字に魅了され、その後アジアに戻ってきました。(中略)アレックスとは高校時代からの友達で、同じ高校と同じ大学に行きました。大学卒業後、中国に来て4年間暮らしていました。アレックスはそのとき遊びに来て、私がとても楽しい経験をさせたからでしょう(笑)。彼も中国に残ることにしたのです。彼はマッキンゼーを去り、起業家としてここに残ることにしたのです。そして私は彼が中国に来た際に、コンサルの仕事に就きヨーロッパに戻りました。私はベインに行き、その間アレックスは中国で様々な起業のチャンスを探していたのですが、そのときに個人的な体験によって偽物商品の問題に出逢ったのです。」

アレックス氏:「当時、私は杭州にいてウィスキーをよく買うことがあったのです。ちなみに杭州というのは大都市で、アリババが拠点を置く(中略)非常に大きな都市です。そんな大都市の評判の良いお店でウィスキーを買っているのに、毎回不安だったのです。"明日具合悪くならないだろうか?本当にこれは飲んでも安全なのか?" でもふと考えてみると、(中略)私たち全員が持ち歩いているスマートフォンはいろいろとできるのに、いまだに目の前にある商品が本当にパッケージに記載されている通りのものなのか確認できない。さっそく、昔からそうなのですが、まずはじめにヤロスラブにこの件について相談をしました。(中略)ヤロスラブは当時ベインで粉ミルク関連の仕事をしていて、言ったのです。"確かにお前とアルコールの話もある。でも、粉ミルクと赤ちゃんの話もあって、中国でははるかに深刻な問題なんだ"。 当時私は知りませんでしたが、それを聞いたときに "まずはこの領域にフォーカスすべきだ" と思ったのです。そして何回か試行錯誤をした結果、どの技術を採用すべきかがわかったのです。」

Q:ワリマイのビジョンについて教えてください。

アレックス氏:「私たちは誰もが安全な商品を手に取って使える世界を実現しようとしています。私たちが世界に構築している安全な流通では、そこで買い物をしたとき、その商品が安全で、パッケージに記載されている生産者から届いたもので、それを食べたり、飲んだり、その他の方法で利用したりした後も具合が悪くならない、そういった世界を実現しようとしているのです。」

ヤロスラブ氏:「また、より大きな視点でみると、私たちは一種の世界最大のITネットワークを構築しているのです。なぜなら、私たちはどこにでもあって低単価である消費財をスマート化していて、その商品のスマートパッケージ化を通じてあらゆることができるようになるからです。」

アレックス氏:「よく "競合はどこか?" と聞かれるときに、多くの人は私たちの競合が商品ラベルを生産する会社や、ブロックチェーンで偽造防止をしようとしている会社だと思っているようなのですが、消費者のために安全な流通を構築している私たちにとって、エンドユーザーは実際に商品を買って、それを食べたり飲んだりする人たちなのです。つまり、私たちは小売店のカテゴリーに当てはまるのです。私たちにとっての競合は他のベンチャーやメーカー向けの業者ではありません。私たちの競合はアリババやウォールマートなどの会社だったり、(中略)またアマゾンのような会社なのです。もちろん、彼らは巨大で私たちは小さなベンチャーなのは知っています。でもそれは良いのです。私たちは同じ市場の中でも "安全な商品" の領域を自分たちの強みとして削り取っているのです。」

Q:既にメーカー各社も偽造防止策は実施中だと思いますが、今の課題は何なのでしょうか?

アレックス氏:「技術革新に伴い、企業は自社の利益とコストを考慮したうえで特定の技術を選んでいます。(中略)よく見受けられるのは、小売店もメーカーも、多くの企業は必ずしも消費者目線に立ったアプローチを選んでいるわけではないということです。私たちは、比較的大きい小売店ではビッグデータなどを活用して偽造防止策を構築しているところを見てきました。(中略)これは資源の一部を使って問題の一番大きな部分を解決するという、ごく普通の経営論的な2:8の法則に基づくアプローチです。それによって、問題の70%、90%、いやもしかしたら95%解決できているかもしれませんが、100%にはなりません。」

「もちろん、問題解決には近づいているのですが、消費者の視点に立って考えてみましょう。何かを買って、それを自分で消費するのか、それとも友達にあげたり、両親や赤ちゃんにあげたりするとき、それは100%安全であってほしいのです。99%でも足りないのです。そこに違いがあるのです。この視点の違いによって、たまに企業は安全性が100%担保できないソリューションを選択しているのだと思います。その取り組みに意味はあるのですが、消費者にとってそれではダメなのです。」

まとめ:数字の裏にある消費者の命

以前、偽物の粉ミルクを飲んだ赤ちゃんが十数人死亡する事件があったが、中国の人口を考えると、被害者ベースでみる比率は確実に1%以下。

数字だけでみると、ニセモノを1%以下に抑えるという主張は称賛に値する企業努力に聞こえる。だが、自分の赤ちゃんが飲んだ粉ミルクが、たまたまその1%だったとしたら、あなたはどうする?仕方ないと思えるだろうか?

日本では偽物商品の問題がそこまで深刻ではないため、中国での出来事について自分ごと化しづらいかもしれない。だが、中国では信頼できる小売でもニセモノは平気で紛れ込んでいるらしく、安心して買い物ができない消費者は少なくないらしい。

日本商品はその質と安全性が評価され中国では人気だが、その結果、偽造者は日本商品のニセモノを大量に作っているという。

もちろん、自分の店舗でもない上に遠い海外の流通のため、現地でニセモノにすり替えられても仕方がないという考え方もあるかもしれない。だが、日本企業のゴールは何か?棚に商品を並べることなのか?消費者に購入させることなのか?いや、一人ひとりの消費者の生活をより豊かにすることではないのか?

ワリマイは、しっかりと企業が提供する価値を一人ひとりの生活者に届けるために、日用品などでも採用可能な安価な技術を開発した。

次回以降は、彼らがどうやってこの技術にたどり着いたのか、また彼らの戦略について紹介する。

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