CIOからCDOへ
2011年9月。ニューヨークで開催された"Strata Summit 2011"で、ニールセンの関係者が面白い講演を行っています。内容はTwitterを分析し、テレビ番組の視聴率&反応調査に使うという最近お馴染みの話なのですが、その徹底ぶりに注目です:
単にツイートを集めて単語を拾う、程度ならAPIを叩けばどんな企業でもできます。しかしニールセンでは、プロフィール欄を始めとした様々な情報を組み合わせて、発言者の性別や年齢層、住んでいる場所といった属性を推定。それを組み合わせて「このシーンは東部に住む女性にはウケが良かった」的なレポーティングを行っているわけですね。
個人的になるほどなぁと思ったのは、文章のクセを属性割り出しに活用するという部分。言語解析の技術は日進月歩で、既にサンプルさえあれば個人特定すら可能だそうですが、単純に考えても「マクド行ってきた」というツイートを見れば「この人は関西方面出身なのかな」と推測することができます(もちろん偽装している可能性はありますが、今回のように全体的な傾向を把握する場合には無視してもOKでしょう)。様々な地方の言語的特徴を集めたデータベース、は探せばどこかの大学にありそうですし、それがあればある程度まで個人属性を明らかにできるわけですね。
ニールセンの例が示しているように、様々なデータセットを組み合わせることで、単一のデータセットだけでは分からなかった情報まであぶり出すことが可能になります。まさに「共有されるほどデータの価値は上がる」といったところでしょう。そしてこの言葉は、大容量かつ多種多様なデータを分析して知識を手にするという「ビッグデータ」の時代に、より正しさを増しているように思います。
そう考えると、これからの企業は「情報をどう活かすか」だけでなく「データをどう活かすか」、さらに言えば「社内にあるデータを活かすためにどんなデータと組み合わせるか」「そのデータは社内/社外どちらから入手するか」「社内にあるデータの価値を高めるにはどうすれば良いか」「標準化などの整備を進めることで社外に売るという道を拓くことができないか」といった検討を行うことが必要でしょう。もちろんそれはこれまでも行われてきたことですが、以前にもまして「情報(information)」から「データ(data)」へと中心が移って行くのではないかと思います。
であれば、若干言葉遊び的な面はありますが、これからは「CIO(Chief Information Officer)」だけでなく「CDO(Chief Data Officer)」的な役割も重要になってくるのではないでしょうか。「データ」という存在を中心にして企業戦略を考える――もちろんそれだけで戦略の全てが立案できるわけではありませんが、検討すべき方向性ではあると考えています。
■ Facebookページ「ビッグデータ社会の到来」 更新中です。
ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略 鈴木 良介 翔泳社 2011-11-09 売り上げランキング : 7858 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
【○年前の今日の記事】
■ ついに Twitter 専用端末が登場 (2009年11月4日)
■ バーチャル住所の時代 (2008年11月4日)
■ 来年の手帳、買いましたか? (2007年11月4日)