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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

どうも、情報通です(すみません、このネタ引っ張るのは終わりにしますね)。

人々の「つながり」を広げてくれるソーシャルメディア。それがどれほどの価値をもたらしてくれるツールなのかは、改めて説明するまでもないでしょう。しかし「上司と部下」「先生と生徒」のように、つながりを深めることがプラスになると単純には言い切れない関係もあります(例えば米バージニア州では、先生と生徒がオンライン上で交流することを制限するガイドラインを検討中とのこと)。そして、そんな関係の1つとして「医者と患者」もあるのではないか?という論文が発表されているとのこと:

Doctors on Facebook Risk Compromising Doctor-Patient Relationship, Study Suggests (ScienceDaily)

Journal of Medical Ethicsに発表された、あるアンケート結果について。フランスのRouen University Hospitalで働く405名の研修医に対して、Facebook上での活動についてアンケートを実施したところ(約半数が回答)、73%がプロフィールを開設していたそうです。そのうち約半数の49%が1日に1回、もしくは週に数回の頻度でログインしていたとのこと。そして:

Virtually all (97%-99%) displayed sufficient personal information for them to be identified, including their real name and their birth dates. And 91% displayed a personal photo. Just over half displayed their current post (55%) while 59% provided information on their current university training site.

(プロフィールを開設している研修医のうち)ほぼ全員が、実名や誕生日を公表するなど、個人を特定するのに十分な情報を掲載していた。自分の写真を掲載していた人物も91%に上っている。また半数以上(55%)が現在の肩書きを掲載し、59%が現在勤務している大学の訓練機関の情報を掲載していた。

ということで、患者が見れば「あの先生だ」とすぐに分かる、あるいは患者が検索できるような情報を掲載していたのだとか。その結果、実際に「Facebook研修医」の6%が患者からの友達リクエストを受けたことがあり、この割合は今後上昇する可能性があると論文では結論づけているそうです。

別に医者が個人情報をSNS上で晒したり、患者と交流したりするのが悪いと言っているわけではありません。問題はそのような交流が生まれた際に、どのような影響が医者-患者の関係に及ぶのか?という点です。この点に関して、「Facebookにアカウントを持っていることが分かると、患者との関係は変化してしまう」という意見に同意したのは回答者の約半数、また「患者がFacebook上のプロフィールにアクセスが可能だったとすると、患者との関係は変化してしまう」という意見に同意したのは4分の3に上るとのこと。Facebookを利用しつつも、個人的な情報を自分の患者が読むことによって、何らかの影響が及ぶのではないか?と心配している研修医の姿が浮き彫りになっています。

ちなみに論文では、次のようにコメントされているとのこと:

"Moreover public availability of information on a doctor's private life may threaten the mutual confidence between doctor and patient if the patient accesses information not intended for them."

And they warn: "Doctors must be aware that comments and pictures posted online may be misinterpreted outside their original context and may not accurately reflect their opinions and real-life behaviour. This information could also become accessible to people that it was not intended for."

「医者の私生活に関する情報が公になり、患者達が彼らに向けられたのではない情報にアクセスしてしまうと、医者と患者の間にある相互信頼関係が崩れてしまいかねない。」

さらに著者らは警告する。「オンライン上に投稿したコメントや写真が本来の文脈を離れ、誤った形で解釈されてしまい、本当の意見や実際の行動とはかけ離れたものになってしまう危険があることを、医師は認識しておく必要がある。こういった情報は、本来意図していない人々にまで読まれる可能性があるのだ。」

意図していなかった人物にまで、情報が伝わってしまうリスク。あるいはその情報が元の文脈を離れ、一人歩きしてしまうリスク。それがもたらす結果の重さに違いはあれど、これは誰もが意識しなければならないポイントかもしれません。出身校、趣味、休日の行動、恋人や家族の有無、飼っているペット、好きなブランド――今までは「意識して言わなければ伝わることがなかった情報」が、「自分の周囲にいる人物誰もが知り得る可能性がある」という状況のメリットとデメリットについては、まだ十分に理解されてはいないのではないでしょうか。

繰り返しますが、それが無条件で悪いということではありません。医療機関でオンラインメディアを活用した結果、患者の精神的なケアに効果があったという例や、家族や友人など外部の関係者とのコミュニケーションに役立ったという例もあります。また誤解が生じないような情報のカタチ、とでも呼ぶべきものが今後工夫されていくでしょうし、「先生と同じ趣味を持っていたんだ!」というような新たな親近感を促進する効果も期待できるでしょう(それが逆に治療行為上は悪影響になる、という危険性もありますが)。大切なのは、オンラインでのコミュニケーションについては、まだ私たちの理解は不十分であることを念頭に置いて行動することではないかと思います。

【○年前の今日の記事】

米議会、YouTube に専用チャンネルを開設 (2009年1月13日)
専門家は、データを活用できない。 (2008年1月13日)

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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