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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

先日お伝えした、コロラド州ボルダーで行われているスマートグリッド実証実験"SmartGridCity"のコスト超過問題。単に業界関係者の注目を集めているだけでなく、地元住民の関心も大きいようで、同じくコロラド州デンバーの地元新聞「デンバー・ポスト」にも詳しい記事が掲載されていました:

Cost of smart-grid projects shocks consumer advocates (The Denver Post)

前半で扱われている内容は、前回お伝えしたものとほぼ同じ。最終的にボルダーで整備されているスマートグリッドには、約1億ドルのお金がかかるかもしれないことが指摘され、そのコストを電気料金の値上げでカバーすることに対し、当局や市民団体から批判が出ていることが紹介されています。そして後半では、この問題がボルダーに限らないことが説明され、他プロジェクトでのコスト超過例として

n Pennsylvania, a plan by Allegheny Power to fund a $482 million smart-grid program through a surcharge on new smart meters — starting at $5.32 a month and rising to $15.77 in 2013 — is drawing fire.

"They are loading all the costs onto the surcharge, and it isn't clear that every customer is going to benefit," said Sonny Popowsky, the state consumer advocate.

ペンシルバニア州では、アレゲニー・パワー社がスマートグリッドプロジェクトにかかるコスト(4億8,200万ドル)を値上げでカバーしようとして批判を浴びている。この計画では、1ヶ月につき5ドル32セントの値上げから始まり、2013年にはこの額が15ドル77セントにまで上昇する予定だ。

地元消費者団体の Sonny Popowsky は次のように述べている。「彼らは追加料金ですべてのコストをまかなおうとしているが、すべての顧客が利益を得られるかどうかは明らかになっていない。」

などといったケースが取り上げられています。確かに消費者にとってみれば、「スマートグリッドって何か凄そうだけど、電気料金を月に1,000円も値上げしてまで整備しなくちゃいけないものなの?私たちにどんな見返りがあるの?」という思いを抱くのは当然のことでしょう。

しかし各電力会社が隠密にプロジェクトを進めているのかといえば、そんなことはありません。先進的なプロジェクトを進めている企業は積極的に成果をアピールしていますし、前述の SmartGridCity プロジェクトでも、中心となるユーティリティ企業のエクセルエナジー社や、他のプロジェクト参加企業は積極的に対外アピールを行っています。それでも「なぜこれだけのコストをかける必要があるの?」という疑問が出てくる背景には、消費者不在のままで議論が先行してしまっているからかもしれません。

Utility companies elsewhere, however, are facing "stiff pushback," said Charles Acquard, executive director of the National Association of State Utility Consumer Advocates.

"We feel we are moving too fast," Acquard said. "Smart gird is the brand-new, shiny toy of the utility industry."

しかし全米州公益事業消費者協会エグゼクティブ・ディレクターの Charles Acquard は、各地のユーティリティ企業が「強い反発」に直面していると言う。

「私たちは急ぎすぎているように感じる」と Acquard は述べる。「スマートグリッドはユーティリティ企業にとって、新しくてピカピカのおもちゃだ。」

この言葉は、消費者団体トップの発言という点を割り引いても、耳を傾けるに値するのではないでしょうか。確かに各国がスマートグリッドの標準化に動いている状況では、いち早く動くということが非常に重要になってきます。しかし「急がば回れ」ではありませんが、素早く動くためには消費者の声に耳を傾け、彼らを巻き込んでいかなければなりません。でなければ、逆に無用な議論に時間が費やされてしまうはずです。また何より、利用者の反発を招くようなモデルが世界的なスタンダードとなるでしょうか。

消費者の参加を促し、地道でも着実に発展していけるようなモデルを考えること。「とにかく世界最速でスタンダード奪取を!」というアプローチもあるとは思いますが、ボトムアップというか、電力インフラ/サービスの提供者と利用者が協力しながら進んでいくことが、特に日本を始めとした先進国で必要になってくるのではないかと思います。

【○年前の今日の記事】

ハートの Twitter (2008年2月15日)
危険な擬人化 (2007年2月15日)

アキヒト

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コメント
今泉 2010/02/18 17:37

遅ればせながら、このXcel Energyのコスト問題に関する記事をいまさっき読みました。
http://earth2tech.com/2010/02/09/xcel%E2%80%99s-smartgridcity-can-thank-fiber-for-ballooning-costs/
結局、コスト負担をどうするかにかかってきますね。受益者負担ということで行くと、消費者にも負担してもらわなければならない。では、受益の”益”とは何か。そのへんがこれから議論されていくんでしょうね。取り組みがいがありますw


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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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