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携帯電話を持っている子供は、文章を書くことが……

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米国でのリサーチでしたが、以前「ブログを書いている子供の方が、学校外でも文章をよく書き、文章力の必要性を感じている」という調査結果をご紹介したことがありました:

国語にブログを取り入れよう! (シロクマ日報)

で、今回はその続編として。新たに英国で、子供と作文に関する調査結果が発表されたそうです:

Blogging makes child writers happier, more confident (Geeks Are Sexy)

The study by the National Literacy Trust found some seemingly obvious patterns, such as the fact that children who wrote on blogs were more likely to say they enjoyed writing. However, the study may give a clearer insight into exactly why that is: blog writers were considerably more likely to back the view that writing is more fun when you can choose your own topic.

The results also showed that children who write blogs or participate on social networks are notably more likely to rate their own writing skills highly. Perhaps surprisingly, one in four children blog regularly, while one in six maintain their own website.

National Literacy Trust の研究では、ブログを書いている子供は文章を書くことを楽しんでいるなどといった傾向が見られた。しかしこの研究で明らかにされているのは、その理由についてだろう。ブロガーたちが示しているのは、書くテーマについて自分で選ぶことができるとき、作文は楽しいものになるということだ。

他にも、ブログを書いたり、SNSに参加したりしている子供たちは、自分の作文力を高く評価するという傾向が顕著に見られた。驚いたことに、4人に1人の子供がブログを開設しており、さらに6人に1人が自分のウェブサイトを持っていた。

など、文章を書くという行為とネットの関係について調査されているようです。他にも面白い結果が出ているので、興味のある方はぜひ原文をあたってみて下さい。ダウンロードはこちらのページから可能です(主要な成果はエグゼクティブ・サマリにまとめられています)。

ちなみにこの調査を行った National Literacy Trust とは、カレントアウェアネス・ポータルの記事によると、英国でのリテラシー向上を目的として1993年に設立された組織とのこと。というわけである程度の中立性は期待できると思いますが、調査はオンラインで行われたという点だけ留意しておく必要があるかもしれません。

例によってこの種の調査は、因果関係を示したものではなく、例えば「文章を書くのが楽しいからこそブログを開設しているのだ」という見方も可能でしょう。何が原因で、何が結果なのかは個々に考察していかなければなりませんが、少なくともブログなどのソーシャルメディアは、子供にとっても「文章を書く」という経験の1つになっているということ。目をそらしたり、否定したりするのではなく、どうやって教育に役立てていくかを考えるフェースに来ているのではないでしょうか。

では、この記事のタイトルにもした「携帯電話の所有と作文行動の関係」についてですが。今回の調査では、このような結果が出ているそうです:

Owning a mobile phone does not appear to alter young people’s enjoyment of writing,
their writing behaviour or their attitudes towards writing.

携帯電話を所有しているか否かは、若者が作文を楽しいと感じるかという点や、文章を書くことに関連する行動、また文章を書くことに対する態度などといった点には影響を及していなかった。

【○年前の今日の記事】

ケータイ小説の「身近」度 (2007年12月5日)
そのデータ、必要です。 (2006年12月5日)

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