Twitter 時代のストリート・ギャング
Twitter を始めとしたソーシャルメディアの発達によって、集団でのコミュニケーションや行動を行うのが格段に楽になりました。通常、そうした「コミュニケーション」や「行動」は良い目的に用いられるわけですが、当然ながら犯罪行為にも使うことが可能なわけですね(そもそも反体制デモのような行為も、体制側から見れば「悪しき行為」なわけですし)。例えば New York Daily News のサイトに、「Twitter を使うストリート・ギャング」という興味深い記事が掲載されています:
■ Gangs in New York talk Twitter: Use tweets to trash-talk rivals, plan fights (New York Daily News)
ニューヨーク市周辺の非行少年グループらがどのように Twitter を使っているのか、そして警察を含む周囲の人々はどのようにそれに対応しようとしているのかがレポートされています。例えばある少年は、以下のように証言しています:
A 15-year-old nicknamed Lil V, who belongs to The New Dons, says Twitter is useful for "settin' up the fights" and making plans.
He seemed aware that the cops or anyone else could follow them - and said the gang takes precautions, using lingo gangsters from an earlier era wouldn't even understand.
"We got our own page," Lil V said. "Our page is private."
The New Dons (※ギャンググループ)に所属する、Liv V というあだ名の15歳の少年は、Twitter が「抗争を計画」したり、戦略を練ったりするのに都合が良いと語った。
彼は警察など周囲の人々がフォローできることを理解しているようだったが、ギャングたちは十分に警戒し、古い時代のギャングですら分からないような隠語を使っているのだとも語った。
「俺たちだけのページがあるのさ。非公開のな」と Liv V は述べている。
ということで、当然ながら隠語を使ったり、非公開サイトでのコミュニケーションを併用する形で Twitter を活用しているわけですね。またあえて Twitter という公開の場を使い、ライバルのギャンググループを挑発するメッセージを投稿するという使われ方もされているとのこと。こうなると「友だち」だから誰かをフォローするのではなく、「敵」だからフォローして監視する、などという奇妙な事態も起きていそうです。
それでは彼らを止める側の大人たちはどうしているのかというと:
Investigators are monitoring the traffic in hopes of sweeping up gangbangers before the bloodshed - and searching Twitter after attacks for clues.
"It is another tool ... just like old phone records," a police source said. "We can go through them [messages] to track these guys."
Harlem pastor Vernon Williams, who runs Perfect Peace Ministry Youth Outreach, said his staff uses Twitter, MySpace and instant messaging to keep track of 4,000 at-risk teens.
刑事たちはギャングによる流血の事態を事前に防げるのではないかという期待を胸に、書き込みの監視を行っている。また襲撃が行われた後で、情報収集のために Twitter を検索するという場合もある。
ある警察関係者は次のように語っている。「(Twitter は)かつての電話と同じようなもので、道具の一つなんです。ギャングたちを監視するために、書き込みをチェックすることができます。」
"Perfect Peace Ministry Youth Outreach"という会を主催する、ハーレム地区の牧師である Vernon Williams は、彼のスタッフは Twitter や MySpace、そしてインスタントメッセージを使って、問題を起こす可能性のある10代の若者たち4,000人をフォローしていると述べている。
とのこと。実際に抗争を未然に防いだ例もあるとのことで、いくらギャング側が警戒しているといっても、ある程度の効果は上げているようです。
警察関係者のコメントにもあるように、Twitter を始めとしたソーシャルメディアはあくまでもツールに過ぎません。良い目的に使われる場合もあれば、悪い目的のために使われることもあるでしょう。従ってギャングたちが抗争の計画に Twitter を使うというのはさほど驚きではありませんが、周囲の大人たちがそれを理解していて、彼らと同じ土俵でフォローしようとしている点は参考になるのではないでしょうか。警察関係者では難しいですが、例えば牧師さんのような立場の人物であれば、「監視」というよりも「そばにいる」ような態度で、少年たちの書き込みから彼らの心情に寄り添うことができるかもしれません。
ということで、報道管制が敷かれた遠い国での事件だけではなく、私たちのごく身近にありながら、なかなか近づくことができない世界とのコミュニケーションにも、ソーシャルメディアが役立ってくれるようになることを期待しています。
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おかげさまで引き続きご好評頂いております。ありがとうございます!今回の話にでてきた「抗争の計画」などではなく、正しい目的のために本書のアドバイスが使われることを祈ります。
【○年前の今日の記事】
■ 二人のスポーツ選手の謝罪 (2007年11月30日)
■ 改めて、携帯電話にカメラがあるということ (2006年11月30日)