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「Twitter の授業」が米国の大学に登場

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ムンバイでのテロ事件に、四川大地震。そしてイランでの反体制派による抗議活動など、最近 Twitter が事件の最前線から情報を伝えることに活用されています。Twitter ジャーナリズムなどという言葉もまことしやかに囁かれるようになったわけですが、いよいよ大学の授業の中で扱われるようになったとのこと:

Chicago's DePaul University offers Twitter class (Chicago Tribune)

シカゴのデポール大学(DePaul University)に、ジャーナリズムの一環として Twitter を教えるコースが登場した、という話。コースには"Digital Editing: From Breaking News to Tweets"というタイトルがつけられていて、以下のような内容になるそうです:

It will focus on how to confirm and evaluate reports by citizen journalists, particularly in cases of breaking news. The class will also help students learn how to sort through information on the Web for story tips and context.

このコースで扱われるのは、特に速報の場合に、市民ジャーナリストから寄せられた報告の事実確認をどのように行い、どのように評価するかという問題だ。また学生たちは、ウェブ上の情報を調査し、物語の手がかりやその文脈を確認する方法についても学ぶことになる。

ということで、非常に興味深い授業のようですね。大学側からも以下のようなリリースが出ています:

DePaul Explores New Frontiers of Journalism with Courses on Twitter, Entrepreneurial Journalism (DePaul University)

Kanalley said his course, “Digital Editing: From Breaking News to Tweets, is really about learning how to make sense of the clutter of the Web, particularly in situations of breaking news or major developing stories, and how to evaluate and verify the authenticity of reports by citizen journalists.

“Thousands share information about these stories and how they’re affected through Twitter every day, and there’s a need to sift through this data to find relevant information that provides story tips and additional context for these events,” Kanalley said.

Kanalley (※授業を受け持つ Craig Kanalley さん、同大学の卒業生でジャーナリズム専攻)はこのコース、"Digital Editing: From Breaking News to Tweets"について、特に速報の場合にウェブ上の断片的な情報をどのように組み合わせるか、また市民ジャーナリストから寄せられた報告の精度をどのように評価し、事実確認するかを学ぶものだと説明する。

「今日、大勢の人々が Twitter を通じてニュースに関する情報を共有している。データを取捨選択し、事件のストーリーや文脈を構成するのに必要な情報を見つけることが欠かせない」と、Kanalley は述べている。

実際の授業に出てみなければ、この目的がどこまで達成できるのかは分かりませんが、個人的には Kanalley さんが主張されていることは非常に納得できます。好むと好まざるとに関わらず、Twitter に代表されるソーシャルメディアの普及によって、事件の現場にいる当事者から投げられた断片的な情報が(マスメディアというフィルタを通る前に)私たちの手元に届くようになりました。リアルタイム情報の激流に流されるのではなく、そこから価値のある情報を拾い上げる力――これも一種の「メディアリテラシー」と呼ばれるのかもしれませんが、まさしくそれこそがいま必要とされているものでしょう。

そうした力を私たち一人一人が少しずつ有して、全体としてソーシャルメディアの精度を上げていくか、あるいは従来のように情報をさばく専門職が発達して、彼ら少数派に期待するようになるのかはまだ分かりません。しかしいずれにせよ、今回の DePaul 大学での取り組みのように、新たな時代に向けた情報の扱い方を教えてくれる人々や機関が増えてくれることを願います。

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