「電源+無線LAN+Twitter」がセミナー開催の必需品になる日(ハッシュタグも忘れずに!)
今日は東京国際フォーラムで開催されている「Next Communication & Marketing」(以下NCM2009)というイベントにお邪魔しています。中で行われている講演自体も興味深いのですが、ちょっと面白かったのは、Timelog というミニブログサービスを活用して「リアルタイムツッコミボード」なる仕組みを実現していること。Timelog 上にNCM2009専用のグループが設置されていて、ここにつぶやきを書き込むと、それが講演会場に設置してあるスクリーンにも表示される(Twitter のタイムラインを見ているようなイメージ)という仕掛けです。書き込まれた(文字通りの)ツッコミや質問に対して、講演者が回答するという場面も見られました。
こうした「会場の発言をスクリーンに映す」という仕組み、最近はさほど珍しいものではなくなりました。以前書いたブログを読み返してみたところ、2006年1月に行われた「セマンティックWEBコンファレンス」で既にこのアイデアが実現されています(あくまでも個人的に体験した限りの話ですので、最初の事例はもっと古いことでしょう)。Timelog のNCM2009専用グループには最終的に70名ほど登録していた(ただし会場にいなくてもサービス自体には参加可能)ようですので、会場でツッコミに参加していた人は少なくなかったと思います。
ただ、やはりこの種の仕組みには参加への障壁があります。例えば:
- 書き込みたいけど、端末の電力が無くなってしまうので参加できない。
- 書き込みたいけど、通信の手段が無いので参加できない。
- サービスにいちいち参加するのがかったるい。
などといった問題が考えられるでしょう。今回のNCM2009では無線LANは提供されていたものの、電力の提供はなし。東京国際フォーラムという会場では仕方がないと思いますが、電源の確保は避けて通れない問題でしょう。また Timelog というサービスの選択にも疑問が残ります。個人的に Timelog にはこれまで参加したことが無かったので、いちいち登録手続きを行うのが面倒でした。例えば Twitter のハッシュタグを指定しておいて、そのタグが付いているコメントを引っ張ってくるというだけでもほぼ同じ仕組みが実現できたでしょう。セミナーの性質を考えても、Twitter を活用する方が理に叶っていたのではないかと思います。
ちなみにNCM2009関連の実況をされている方々は、現在#ncmというタグを使用しています。これをキーワードにして検索すれば、様々なコメントを確認することができますよ。
というわけで、これから会場参加型のセミナーを開催する場合には「電源+無線LAN+Twitter(+ハッシュタグの指定)」が欠かせない存在となるのではないでしょうか。もちろんそれは簡単な話ではありませんし、ムリをして提供しようとすれば開催できる会場が限られたり、コストがかさんだりといったマイナス面が出てくるでしょう。しかしその効果は少なくないはずです。#ncmを見ていただければ分かるように、会場にいない人々でも様々な情報を得ることができますし、それによってクチコミが広がる可能性もあります。「面白そうだな。来年は参加してみるか」と感じる人も出てくることでしょう。結果として、物理的・時間的な制約を超えた情報の波及を生み出せるのではないかと思います。
もちろん登壇者にとっては、「リアルタイムのツッコミが来る」「会場にいない人々/会場からは見えない人々も相手にしなければならない」なんて状況は悪夢以外の何者でもないでしょう(僕が講演させていただいた時にこの仕組みが導入されていなくて良かった、と本気で思います)。しかし考えようによっては、たかだか数十人、数百人を相手にする以上のインパクトを、たった1回の講演で生み出すことが可能になるはず。さらに今後はTED等のように、講演を録画してオンライン上で公開するということも普通になっていくのではないでしょうか。まさしくそんな「Next Communication & Marketing」の将来像を、今回のセミナーで1つでも多く感じられることを期待しています。
< 追伸 >
最初の講演をされた湯川鶴章さんが、Timelog 内で投げかけられた質問について、講演終了後に Timelog にログインして回答を書かれています。詳しくはこちら:
■ NCM2009のページ ― 今をメモする「Timelog」
これは参加者としてすごく嬉しいですね。講演者の立場からすれば、やはり大変なことですが……しかし前述の通り、「物理的・時間的制約を超えてセミナーを広げる」という効果の好例だと思います。
【○年前の今日の記事】
■ 石油高騰で「バーチャル遠足」が流行? (2008年7月16日)