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YouTube が(検索サービスとして)Google を超える日

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言わずと知れた動画共有サイト、YouTube。それが「検索サービスとして」Google を超える日が来るかもしれないと言ったら、どう思いますか?何をバカなこと言ってるんだ、と感じた方、こちらに注目です:

At First, Funny Videos. Now, a Reference Tool. (New York Times)

「オーストラリアの動物について調べなさい」という宿題を出された、9歳の Tyler Kennedy 君。当然ネット検索からスタートしたのですが、その際に使った検索サービスは Google でも Yahoo でもなく、YouTube でした。その理由は「情報が豊富だから」。実際この宿題についても、オーストラリアの動物がどんな生態か、何を食べているかといった点を教えてくれる動画が見つかったとのこと。確かに"Australia animals"で検索してみると、BBC Worldwide の映像などがヒットします。

で、タイトルの通り「YouTube はおもしろビデオを観るための場所から、情報を探すための場所になりつつあるのでは?」というのが記事の主張。そう言われてみれば上記の例だけでなく、料理の作り方や髪型の整え方など、YouTube には様々なハウツーものがアップされていますよね。さらに言えば、「欲しい情報が見つかるのであれば」という前提つきですが、文字の情報よりも映像の方が分かりやすいはず。Kennedy 君は 「YouTube で良い結果が出なかったら、Google を開く」そうですが、確かにそうした行動を取るのも頷けます。

実際、こうした傾向は数字にも表れているようで、

And now YouTube, conceived as a video hosting and sharing site, has become a bona fide search tool. Searches on it in the United States recently edged out those on Yahoo, which had long been the No. 2 search engine, behind Google. (Google, incidentally, owns YouTube.) In November, Americans conducted nearly 2.8 billion searches on YouTube, about 200 million more than on Yahoo, according to comScore.

そして動画共有サイトと見なされていた YouTube は、今やれっきとした検索ツールとなった。米国内で行われた YouTube 上での検索回数は、Google に次いで長らく第2位の検索エンジンだった Yahoo 上での検索回数を上回った(ついでに言えば、Google は YouTube の親会社である)。comScore の調査によれば、昨年11月に米国人は YouTube 上で28億回の検索を行ったが、これは Yahoo 上での検索回数を2億回上回っている。

とのこと。28億回の全てが「情報を探すための検索」(ヒマ潰しに YouTube を漁っているのではない、という意味で)ではないと思いますし、さらに米国内では日本ほど Yahoo が人気ではないという点にも注意しなければいけませんが、それでも Yahoo 上での検索よりも YouTube 上での検索の方が多いとは。「Google を超えるのは YouTube」というのもまったくの冗談というわけではなさそうです。

もちろん映像はテキストとは異なり、パッと見ただけではそれが自分にとって有益かどうかは分かりません。欲しい情報を引き出すためには、テキストから情報を拾うのとは違ったスキルが必要になるでしょう。さらに言えば、現在よりもっと高性能な検索エンジン(これは既に実現されていますが、「動画内の言葉を拾う」「盛り上がっている箇所を探す」など)も求められるはずです。しかし New York Time で紹介されているのが9歳の子供の事例であることが象徴しているように、「デジタルネイティブ/ネットジェネレーション」な世代は、既にネット上の映像コンテンツから情報を拾うスキルを身につけているのかもしれません。

「いまの子供は、何でも Google で検索して答えを出そうとするんだから……」などと訳知り顔で語っているうちに、子供たちは動画サイトを参照するようになっていたりして。いや冗談抜きで、ウェブの進化を理解するためには、子供たちがどのようにウェブやモバイルに接しているかに注意する必要があるのかも。

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