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ポータブルCDプレーヤーが再び人気、の必然

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英国での話。にわかには信じがたいことですが、ポータブルCDプレーヤーの人気が復活しているそうです:

Portable CD players make a comeback (Telegraph.co.uk)

英国のデパート John Lewisで4年ぶりに販売が再開されたり、家電販売チェーンの Currysで昨年度より売上が50%増加したり、英国内全体では10月だけで4万5千台が販売されたとする調査が出たりと、一時的かもしれませんがその復活は事実のようです。問題はなぜか、という点ですが、

Experts believe that the renaissance of the players are down to their cheapness and the fact that many consumers struggle with digital music players, finding it difficult to both upload and download songs on to their computers.

The average price of the players have fallen from more than £100 just a few years ago to less than £15, according to GfK.

Though MP3 players have proved enormously popular, helped by the market-leading iPod, there are still eight million people who do not have access to the internet in the UK. And though the players are – in comparison – very bulky, they are very easy to use.

専門家はポータブルCDプレーヤー復活の理由を、安さと「多くの消費者はデジタル音楽プレーヤーの扱いに苦労している」という事実に求めている。音楽をPCにダウンロードしたり、アップロードしたりするのは難しいことなのだ。

GfK によれば、ポータブルCDプレーヤーの価格は数年前の100ポンド以上から、現在では15ポンド以下に下落した。

マーケットリーダーである iPod のおかげで、MP3プレーヤーは極めて一般的な存在になったが、英国内にはいまだにネットに接続していない人々が800万人存在する。ポータブルCDプレーヤーはMP3プレーヤーに比べてかさばるものの、非常に使いやすいのだ。

とのこと。安さに加えて、ポータブルCDプレーヤーの方が扱いやすい(と言うより現在のMP3プレーヤーの方が分かり難い)という利点が再評価されているわけですね。

確かにMP3プレーヤー、そして「音楽をダウンロードする/CDからリッピングする」「PCの中に保管した音楽データをMP3プレーヤーに入れる」という行動は非常に一般的なものになりました。特に「音楽を外出先で聴きたい」というニーズの強い若者たちの間では、ケータイも含めたデジタル音楽プレーヤーを使うというのはごく当たり前の行為でしょう。しかし中高年の人々であっても全く音楽を聴かないわけではないですし、中には様々な場面で好きな音楽を聴きたいという人もいるはずです。MP3プレーヤーの急成長を目の当たりにして、慌てて店頭から旧来型の音楽プレーヤーを撤去したけれど、意外に消費者からの引き合いが残っていることに小売店が気付き始めた――というところでしょうか。

とはいえMP3プレーヤーが(単に端末自体の操作性だけでなく、音楽データを入手する/格納するという点も含めて)十分に操作しやすければ問題は無いはずですが、ポータブルCDプレーヤーの需要が残っているということは、まだまだ配慮が足りないということなのでしょう。これまでは「テープ」や「レコード」、「CD」、「MD」といったフィジカルなメディアの中に音楽が格納されていて、それを端末の中に文字通り「入れる」だけで良かったわけですから、新しいスタイルに順応できなくて当然です。PCに慣れていない人々にとっては、アプリケーションの使い方を覚えるだけでも一苦労でしょう。そんな人々に配慮することが採算に合うのか、という問題は別にして、もっと彼らに向けた工夫ができるのではないかと思います。

例えば既に行われているかもしれませんが、いっそのこと、音楽データをプリインストールしたMP3プレーヤーを販売しても良いかもしれません。それなら「音楽データを入手して端末に落とす」という作業は不要であり、再生操作だけを行えば良いことになります。それじゃ新しい音楽を落とす時はどうするんだ、と言われそうですが、小売店のお客様カウンターのようなイメージで「データ更新作業を有料で請け負うサービス」なんてのも考えられるかもしれません。TSUTAYAのようなレンタルショップで、CDを指定して自分のMP3プレーヤーを預けると、数時間後にデータを入れておいてくれるサービスなんてのも可能かも(って、これって現状だと法律上の問題があるんですっけ?)。

いずれにしても、音楽を楽しみたいと考えているのは、老若男女を問わないはずです。ポータブルCDプレーヤーの復活は現状への不満と捉えて、もっと工夫できる場所がないか探してみても面白いのではないでしょうか。

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