いまこそ、マイクロソフトを!
先日、ある出版社の方とお話しさせていただいていた時、ふとこんな話になりました:
書店に行くと、右も左も「グーグル本」「アップル本」「スティーブ・ジョブス本」ばかり。今だからこそ、「マイクロソフト本」があってもいいんじゃないか?
主観的な議論で申し訳ないのですが、最近こんな思いを抱いています。書店で平積みにされているのは「グーグル最強!」「アップル最高!」「スティーブ・ジョブスは神!」的な本ばかり。コンピュータ関係の専門書コーナーを除けば、マイクロソフトは「マ」の字も出てきやしません。
別にマイクロソフトの肩を持つつもりではありませんが、この状況というのはちょっと偏り過ぎではないでしょうか。グーグルとアップルが最近元気だからと言って、マイクロソフトが市場から退場したわけではありません。まだ Windows、Office という強力な製品群、ならびに優秀な技術者を抱えて市場シェアを守ると同時に、モバイル業界への進出も進めています。いま絶好調のアップルだって、数年前までは"Wintel"の前に風前の灯火だったことを考えると、再びマイクロソフトが勢いを得る可能性も十分に残されているでしょう。
百歩譲って、マイクロソフトの「負け」(何を持って負けを判断するのかはそれこそ非常に難しい話ですが)が確定的だとしても、勝者の側からの視点だけで世界を把握しようというのは、非常に危険なのではないでしょうか。先日「生還した戦闘機」というエントリを書きましたが、敗者を見るという行為によって初めて、戦場で何が起きていたのかを把握することができます。その意味で、いまグーグル・アップル等からの激しい攻撃にさらされているマイクロソフトに目を向けることは、グーグル・アップル自身をより深く理解する上も欠かせないことだと思います(重ねて言いますが、まだマイクロソフトが負けたというつもりは一切ありませんが)。
……などということを考えていたら、先の出版社の方から、こんな本が出ることをメールで教えていただきました:
「グーグル、アップル、恐るるに足りず」ですか……興味深い。ということで、さっそく予約注文した次第です。読み終えたら、また感想を書きたいと思います。