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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

運命の皮肉。そう感じずにはいられない話が、先週の『世界ふしぎ発見!』で紹介されていました(某社がスポンサーの番組ですが、別に宣伝じゃありませんよ)。

舞台となったのは、カリブ海に浮かぶ島・キューバ。ご存知の通り社会主義国家で、「豊かな文化と自然を持ちつつも経済的には遅れている」といったイメージで捉えられがちですが、実は意外な面が進んでいるのだとか。それは「農業」。有機農業や都市農業が盛んに行われ、食料自給率の上昇が取り組まれているとのこと。実際、キューバの有機農業を研究した本なども出版されており、その農業改革には注目が集まっているようです(最近は「エコ」「自給率」といった言葉が持てはやされやすい風潮があるので、その評価は冷静に行う必要があると思いますが)。

なぜ有機農業が取り組まれたり、都市農業が行われるようになったのか。その背景には、ソ連崩壊とアメリカの経済制裁があります。キューバは社会主義国家として、他の共産諸国との経済的な結びつきを深めていました。しかしそれが仇となって、ソ連/共産圏の崩壊の影響をもろに被ってしまったわけですね。さらに隣国アメリカによる経済制裁が行われていたこともあり、必要な物資が手に入らない危機的状況に突入してしまった――そこで機械や農薬を必要としない有機農業に取り組まざるを得ず、さらに都市部に住む人々も農業に参加していった、という経緯があったそうです(この辺りの経緯に興味のある方は、こちらのページに詳しい解説があります)。

つまりキューバの農業改革は、他国とのネットワークから閉め出され、自給自足の生活を余儀なくされたのがきっかけだったと。恐らく共産圏からの支援が得られなくなった時点では、人々は苦しい生活を余儀なくされ、「エコ」「地産地消」なんて生やさしい言葉が語られていたわけではないでしょう。それが現在では逆となり、環境破壊や原油価格高騰、食糧不足で苦しむ世界の国々から注目を浴びているのだとすれば、これ以上の運命の皮肉はありません(ちなみに有機農業でつくられた作物には付加価値がつき、先進国に輸出されて外貨獲得に貢献しているのだとか)。

だからグローバル経済とは距離を置くべきだ――などという反グローバリズムを唱えるつもりはありません。またキューバが農業改革に成功したのが事実だとしても、社会制度や気候・文化などが大きく異なるのですから、それをそのままテンプレートのように日本に導入することはできないでしょう。しかし、自分たちがどんなネットワークにどの程度依存しているのか、それにはどんなリスクがあるのか、仮にそこから切り離されたとしたらどのような対処が可能なのかを把握しておくことは重要だと思います。もしかしたら、ネットから離脱することで逆に得られる価値が見つかるかもしれません。

まるで「塞翁が馬」のような話ですが、日常生活のレベルでも、ネットに依存することの長所・短所を把握しておくことが大切なのでしょう。例えば Google から距離を置いてみることで、意外な情報入手ルートが見つかったりしてね。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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