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職場と家庭で70%を費やす現代人

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Yahoo! を見ていたら面白い記事が。携帯電話の記録を分析したところ、「現代人はわずか2カ所で約70%の時間を費やしている」との行動パターンが明らかになった、とのこと:

携帯電話記録から現代人の行動パターンが明らかに (Yahoo! ヘルスケア)

英科学誌「Nature」6月5日号で発表された研究について。米国での調査ですが、なかなか興味深い結果が出ています:

今回の研究で、米ノースイースタン大学(ボストン)複合ネットワーク(Complex Network)研究センター教授のMarta C. Gonzalez氏らは、所定のカバーエリア内での移動を追跡する携帯電話中継基地局のログ(log)を分析。無作為に選択した携帯電話ユーザー約10万人を対象に、その移動に関する情報を6カ月にわたり収集した。

分析の結果、何百マイルも移動していたユーザーも少数いたが、ほとんどは短い距離しか移動していなかった。また、移動先が5カ所であろうが50カ所であろうが、大多数のユーザーは、反復的に訪れるわずか2カ所に約70%の時間を費やしていた。

で、ご想像の通り、この「2ヵ所」とは職場と自宅であろうとのこと。普段の生活は仕事と家庭で成り立っているのですから、当然と言えば当然の結果かもしれませんが、それだけで平均して7割も費やされているのですね。通勤時間も含めれば(通勤・通学に長い時間がかかる日本人は特に)、8割ぐらいは「日常生活」で占められていると考えられるかもしれません。

この結果、現代人は行動範囲が狭いよねという風に解釈できるかもしれませんが(実際、Yahoo! のヘッドラインでは「現代人の行動範囲は案外狭い」という言葉でこの記事が紹介されていました)、個人的には「残り3割」の重要性を示しているように感じました。同じ職場や学校の友人の中にも、「あいつは交際範囲が広いなぁ」という人がいますよね。もちろんそういった人々が生活の3割以上の時間を「職場と自宅以外の場所」で費やしている可能性もありますが、時間の問題ではなく、色々な場所に足を運ぶことが重要なのではないでしょうか。

例えばお子さんがいらっしゃる方なら、父母会で他の親御さんと交流する機会があるでしょう。そこ費やす時間は短くても、様々な情報が得られて有意義だった――という経験をされたことがある方は多いのではないでしょうか。そういった非日常でのちょっとした経験が、日常生活に大きなプラスになることがあります。自分と同じように家庭と職場を往復する毎日なのに、なぜか色々なことを知っていたり、他の分野・社会にいる知り合いも多いという人は、「残り30%」の使い方が上手いのではないかと思います。

そういえば昨日、テレビで「隣人祭り」という取り組みについて紹介されていました。パリのアパートでお年寄りが孤独死したことをきっかけに、近所との交流を取り戻そうとして始められたイベントだそうですが、今では全世界に広まりつつあるのだとか。面白いことに、イベント自体は短時間で終わる(年1回、1日だけのパーティーを開く)ものの、ちょっとした交流から様々な助け合いが生まれているとのこと。いまの生活パターンを崩さず、7~8割の時間を自宅と職場の往復に使っていたとしても、工夫次第で生活を豊かにすることは可能なのかもしれません。

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