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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

中国で大地震があり、大きな被害が出ました。その際、現地の情報をいち早く伝えたのが Twitter だったようです:

[WSJ] 中国地震、ネットで伝わる「現場の声」 (ITmedia News)

また米国では、公的機関(USGS、米国地質調査所)の発表よりもわずかに早く、Twitter 上で情報が出回っていたと指摘する声があります:

Twitter Beats (Wow, By 3 Minutes) The USGS With China Earthquake News (Search Engine Land)

いちユーザーとして「Twitter すごいな」と感心したい気分はあるのですが、現在のマスメディアに代わる存在にまで成長したかと言われると、さすがにそんなことはないでしょう。そもそもネットに接続できる環境まで破壊されていればアウトですし、接続できてもその場に Twitter ユーザーがいなければ意味がありません。ただし現在のようなジャーナリズムとは異質な報道システム、名付けるなら「ボトムアップ型ジャーナリズム」とでも言うべきものが生まれつつあるように思います。

これまでのジャーナリズムは、言うなれば「選ばれた人」だけが情報を発信するというものでした。最近は市民ジャーナリズムというかたちも登場していますが、ここでも「市民記者」という存在になれるのは限られた人であり、しかも(各サイトによって程度の差があるようですが)編集部の検閲が必ず入ります。つまり一部の人間や組織が情報を選別し、その選別に対する信頼感で、情報の信憑性が保証されているわけですね(もっとも最近では、それに疑いの声を上げる人が多くなっていますが)。

一方 Twitter が構築したネットワークの中では、誰もが自由に情報発信することができます。その分ウソやウワサ話といったものも多く含まれることになりますが、別に従来のメディアのように情報の信憑性を保証しているわけではありませんから、受け手はそれを鵜呑みにせず「これは本当だろうか?」と吟味することになります。その情報を発信したのが、普段から信頼できる発言をしている人物か。一人だけでなく、他の人々も同じことを語っているか。同じ情報を受け取った他のユーザーは、どのような反応をしているか。そういった要素をベースに信憑性を判断し、場合によっては自らも「中国で地震があったらしいよ」と発言する――それがまた別のユーザーに伝わって、という流れになるわけですね。もちろんこれは理想像ですが、今回「Twitterで目にした情報はすべて正しいようだ」という発言が出ているのは、従来のジャーナリズムとは別の仕組みで、正しい情報が伝わる仕組みが現れつつあることを示しているように思います。

これは何も、Twitter が始めたことではありません。以前から事件・災害時におけるブログの重要性は指摘されていましたし、SNS や動画共有サイトなども同様の役割を果たし得るでしょう。ただ手軽に情報発信ができる、ユーザー間のつながりが強い、などの理由で Twitter が「ボトムアップ型ジャーナリズム」に向いていたことが今回の結果につながったのではないかと感じます。また「リテラシー」という言葉を使って良いものか分かりませんが、ネット上で交わされる一般人の発言を取捨選択し、正しいものを拾うという行為に人々が慣れてきたこと(そしてそのタイミングで Twitter が登場したこと)もポイントではないでしょうか。

今後、Twitter というサービスがどこまで発展するかは分かりません。しかし仮に Twitter がなくなっても、このようなシステムに人々が慣れ親しんでいくことで、ボトムアップ型の報道というものは今後も続いていくことでしょう。「○○のニュースをいち早く正確に伝えたのは、マスメディアでも公的機関でもなく、あるWEBサービスだった」という状況はますます増えていくのではないかと思います。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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