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厳しい、だから辞めない

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のっけからどこの飲み屋だよ、という写真ですが、週末にAMNの「シングルモルトウイスキーセミナー(サントリー白州蒸溜所)」体験イベントに参加してきました。ここは飲み屋のように見えて、サントリーの白州蒸溜所にあるレストランの一角です(ボトルは試飲させていただいた白州・山崎の10年~18年)。

このイベント、白州蒸溜所で実際にウイスキーが作られる過程を見学した後、ウイスキーの基礎知識を学んで最後にテイスティングできる、という内容でした。ワインや日本酒などに比べ、あまりうんちく的な情報を目にする・耳にする機会が少ないウイスキー。だからといって単純なお酒であるはずがなく、話を聴けば聴くほど奥が深いものなのだなということが実感できましたよ。

実は、というか皆さんご存知だったかもしれませんが、ウイスキーをつくるのにはブレンダーという方々が欠かせないそうです。

ブレンダーは、単にモルトウイスキーとグレーンウイスキーのブレンディング(調合)を行うだけではありません。何百というタイプの、そして膨大な数の樽に貯蔵されているウイスキー原酒から、それぞれの個性を引き出し、ひとつの作品(製品)を作り上げていくという創造的な役割を担っているのです。

上の文章はサントリーのホームページにあった「ブレンダーの仕事」という記事から抜粋したものですが、このように原酒を組み合わせて最終的なウイスキーの味を作り上げていくのがブレンダーの仕事とのこと。今回のイベントでは、白州蒸溜所の品質保証マネージャーである一ノ瀬さんが「(製品として出荷するウイスキーをつくるのは)絵の具(=原酒)を使って絵を描くようなものです」という洒落た表現もされていました。

この通り、ブレンダーというのはセンスや技術が要求される仕事であり、機械などで代替させることはできないそうです。しかもスキルを維持するために、定期的に試験を課せられるのだとか。そうなると、転職が当たり前のいまのご時世、優秀なブレンダーを育てるというのは大変なのではありませんか?という質問が参加者から出ていたのですが、意外にもその心配はないとのこと。ブレンダーは誰でもなれるものではなく、スキルがある人物をブレンダー室の側で選ぶのだそうです。なので任命された人はそれを誇りに思い、簡単に辞めていくことはない――すでに酔っぱらった状態で聴いた話なので、一字一句こう言われたわけではないのですが(すみません)、迷わずにしっかりとした回答が返ってきたのが心に残りました。

今回のイベントに参加して、ブレンダーに限らず、ウイスキー作りは非常に難しい仕事なのだと実感しました。素材を選び、仕込み、蒸溜し、長い年月をかけて初めて結果が出る――それまで地道な努力を続けなければなりません。しかし逆説的ですが、それだけにやりがいも大きい仕事なのかもしれませんね。辛い・厳しいからチャレンジしない、辞めてしまうということではなく、その中に面白さが見いだせるものなのだということを改めて認識させられました。こうして蒸溜所を広く一般の人々に公開するというのは、サントリーさんの自身の仕事に対する誇りの現れかもしれません。

 

白州蒸溜所は1973年にスタートしたとのことで、その当時に作られた原酒の樽もいくつか発見しました。1973年ということは僕と同い年……しかし白州蒸溜所で生まれたウイスキーは既に数々の賞を受賞しているそうで、僕も人として熟成しなければ、と身につまされた次第です。

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