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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

昨夜、NHKスペシャルで「放送記念日特集~新動画時代 メディアが変わる」という番組が放映されました。先ほど録画しておいたのを見たのですが、NHKが感じているもどかしさというか、悔しさがにじみ出ているなーというのが最大の印象。

番組はいきなり、「YouTube の方が断然面白い、もうTVなんて見ないよ!」と子供が言い放つところから始まります。これだけでも十分自虐的なのですが、ある日本の家庭(同じ部屋)でおばあさんはテレビ・お孫さんはネットを見ているシーンを写して、「テレビの前にいるのは、祖母のカツコさんだけです」というナレーションをのせるという場面まで。他にも20代の人々のテレビ視聴時間が急速に減っていることを示すなど、よっぽどNHKはテレビが嫌いなんだろうなぁというのが感じられました(笑)

その後は違法動画の問題や、暴力的な映像に潜む危険性なども言及されていたのですが、全体的には「これからはネットの時代だよね!」という空気。海外のテレビ局の取り組みがふんだんに紹介され、さらにNHK自身の計画もちゃっかりと宣伝されていたりして。しかし『テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』を読まれたことがある方なら、この展開は読めていたかもしれません:

これまで書いてきた通り、テレビ局はネットが嫌いだ。ところが実は、インターネットへの本格進出を虎視眈々と狙っている珍しいテレビ局がある。日本最大のテレビ局、NHKである。

埼玉県のJR川口駅からバスに揺られること15分。「NHKアーカイブス」と呼ばれる施設が見えてくる。ここは、2003年にオープンしたアジア最大の映像保管施設である。NHKが過去に放送した数十万本の番組と百数十万本のニュースクリップを保存してある。

(中略)

思い入れのある映像が、ネットを通じて次々とパソコンや携帯電話、テレビに映し出されたらこんな楽しいことはないはず。したたかな海老沢会長の下でNHKは、そんなネット配信の可能性を人々に知らしめるために、NHKアーカイブスを建設した。

というのも、NHKは本格的なネット事業が制度的に禁じられている。その制度を国に変えてもらうためには、「NHKの過去の番組をネットで見せるべきだ」というユーザーや関係者の声が重要になる。要望を増やせれば、NHKは「ユーザーのためにネット事業に進出する」という大義名分を手に入れられるのである。そこで、NHKアーカイブスの中で膨大な量の番組が死蔵しているように見せて、「もったいない。ネットで流すべきだ」という世論を作り上げようとした。

番組内では、当然この「NHKアーカイブス」も紹介され、NHKが大量のコンテンツを持っていることがさりげなく触れられていました。さらに英BBCが設立時に国王から行動の自由を許されているのに対し、NHKが放送法で「がんじがらめにされている」という対比まで行われるなど、まさに「BBCウラヤマシス」じゃなくて「俺たちもネット進出してー!」という声が聞こえてくるかのよう。

恐らくNHKは、過去の映像のアーカイブ、それに自身の番組制作能力をもってすれば、ネット時代も怖くない――いや逆に大きなビジネスチャンスだと考えているのでしょう。実際、番組内ではプロアマ問わず、「おもしろいコンテンツを作った人/会社」「人々が望む形でコンテンツを配信した人/会社」が特をする/特をする可能性がある、という例も登場していました。「自分たちもチャレンジしたい」と感じてもおかしくありません。

しかしNHKが新しいことを始めれば、NHKが嫌いな人々、特に民放各局から相当な反発をくらうでしょう。それがネットへの進出ならなおさら。であれば、『テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』で指摘されていたように「世論を誘導する」という目的で、あるいは「死なばもろとも」でネットの可能性を宣伝する番組を作ったのではないか……という穿った見方をしてしまいました。

番組の終わり近く、こんなエピソードが紹介されていました:

NHKが相撲のラジオ中継を始めようとした時、日本相撲協会は「国技館に来て入場料を払ってもらうのがビジネスモデルだ」と言って反対した。しかしフタを開けてみると、中継によって人気が出て、国技館に足を運ぶお客が増えた。

だからNHKがネットに進出するのを許してもらえば、得をする人が増えるはずだよ……とまでは言っていませんでしたが、恐らくそのメッセージを感じ取って欲しいというのが、この番組の最大の目的だったのではないかなぁと感じた次第です。

アキヒト
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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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